近代日本の国際リゾート―一九三〇年代の国際観光ホテルを中心に

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近代日本の国際リゾート―一九三〇年代の国際観光ホテルを中心に

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  • サイズ A5判/ページ数 623p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784787220318
  • NDC分類 689.21
  • Cコード C0021

出版社内容情報

1930年代に鉄道省国際観光局は「外国から観光客を呼び込め」と国際リゾート地を選定し、国際観光ホテルを官民一体となって次々と建設した。上高地・雲仙・志賀高原・阿蘇・唐津・琵琶湖・富士・日光などでの計画から建設・運営までの実態を膨大な史料から描く。

序章 幻の国際リゾート地・ニッポン

第1章 外客誘致事業の政策的展開
 1 近代日本の外客誘致事業の経過
  1―1 一期/一八七〇年(明治三年)―七八年(明治十一年)
  1―2 二期/一八八五年(明治十八年)―九六年(明治二十九年)
  1―3 三期/一九〇六年(明治三十九年)―一六年(大正五年)
2 国際連絡運輸による世界的交通網の形成

第2章 一九三〇年代の国際観光政策
 1 一九三〇年代の国際観光政策の立案過程
  1―1 国際観光政策は単なる外貨獲得策ではない
  1―2 鉄道官僚による動き
  1―3 国会議員による動き
  1―4 井上準之助による大蔵省預金部資金を用いたホテル建設資金融通への活動(新大阪ホテル/大阪市)
  1―5 一九三〇年代の国際観光政策の立案過程
 2 国際観光政策を進めた体制
  2―1 国際観光政策を実効化する機関
  2―2 委員会組織の再編から見た国際観光政策の内容と国際リゾート地開発
 3 一九三〇年代の国際観光政策で検討された国際リゾート地の立地構想

第3章 国際観光ホテル整備の制度的背景
 
  1―1 国際観光ホテルとは
  1―2 国際観光政策における「ホテル」と「旅館」の差異化とホテルの定義
  1―3 融通先行事例・新大阪ホテル
  1―4 「国際観光ホテル」建設資金融通制度の仕組み

第4章 山岳地でスポーツ施設を利用した国際リゾート地開発
 1 上高地ホテルと国際リゾート地開発
  1―1 国際リゾート地開発前史――電源道路と国立公園、日本新八景による宣伝
  1―2 上高地の政策的な国際リゾート地開発
  1―3 上高地の国際リゾート地開発の事業第二部特別委員会第三回会議議事録計画
  1―4 上高地ホテルの建築概要とそのリゾート空間
  1―5 上高地ホテルと国際リゾート地開発
 2 雲仙観光ホテルと国際リゾート地開発
  2―1 国際リゾート地開発前史
  2―2 一九三〇年代の国立公園政策と国際観光政策による開発
  2―3 一九三〇年代の国際観光政策による事業計画
  2―4 雲仙観光ホテルの建築概要とそのリゾート空間
  2―5 ホテルの利用者
  2―6 一九三〇年代国際観光政策による雲仙の国際リゾート地開発
 3 志賀高原温泉ホテルと国際リゾート地開発
  3―1 国際リゾート地開発前史――神津藤平・長野電気鉄道と和合会による開発
  3―2 志賀高原の政策的な国際リゾート地開発
  3―3 志賀高原の国際リゾート地開発の事業計画
  3―4 志賀高原温泉ホテルの建築概要とそのリゾート空間
  3―5 志賀高原温泉ホテルと国際リゾート地開発
 4 赤倉観光ホテルと国際リゾート地開発
  4―1 国際リゾート地開発前史――鉄道開通と温泉別荘地の形成
  4―2 赤倉の政策的な国際リゾート地開発
  4―3 赤倉の国際リゾート地開発の事業計画
  4―4 赤倉観光ホテルの建築概要とそのリゾート空間
  4―5 赤倉観光ホテルと国際リゾート地開発
 5 阿蘇観光ホテルと国際リゾート地開発
  5―1 国際リゾート地開発前史――豊肥線と阿蘇登山道路の開通
  5―2 阿蘇の政策的な国際リゾート地開発――一九三〇年代の国立公園指定と国際観光政策
  5―3 国際観光政策で見出された阿蘇の国際リゾート地としての役割
  5―4 阿蘇の国際リゾート地開発の事業計画
  5―5 阿蘇観光ホテルの建築概要とそのリゾート空間
  5―6 阿蘇観光ホテルと国際リゾート地開発
 6 山岳地でスポーツ施設を利用した国際リゾート地開発

第5章 臨海地で景勝を利用した国際リゾート地開発
 1 蒲郡ホテルと国際リゾート地開発
  1―1 国際リゾート地開発前史――滝信四郎個人による蒲郡の観光開発
  1―2 蒲郡の政策的な国際リゾート地開発計画
  1―3 大蔵省預金部資金の蒲郡町への融通の特異性
  1―4 蒲郡ホテルの建築概要とそのリゾート空間
  1―5 蒲郡ホテルと国際リゾート地開発
 2 唐津シーサイドホテルと国際リゾート地開発
  2―1 国際リゾート地開発前史――鉄道開通と市制施行
  2―2 唐津の政策的な国際リゾート地開発――東アジアの避暑地
  2―3 唐津の国際リゾート地開発の事業計画
  2―4 唐津シーサイドホテルの建築概要とそのリゾート空間
  2―5 唐津シーサイドホテルと国際リゾート地開発
 3 ニューパークホテルと国際リゾート地開発
  3―1 国際リゾート地開発前史――県立公園整備による独自の観光開発
  3―2 一九三〇年代の松島の政策的な国際リゾート地開発
  3―3 松島の国際リゾート地開発の事業計画
  3―4 ニューパークホテルの建築概要とそのリゾート空間
  3―5 ニューパークホテルと国際リゾート地開発
 4 臨海地で景勝を利用した国際リゾート地開発

第6章 その他の国際リゾート地開発
 1 琵琶湖ホテルと国際リゾート地開発
  1―1 国際リゾート地開発前史
  1―2 琵琶湖の政策的な国際リゾート地開発
  1―3 琵琶湖の国際リゾート地開発の事業計画
  1―4 琵琶湖ホテルの建築概要とそのリゾート空間
  1―5 琵琶湖ホテルと国際リゾート地開発
 2 富士ビューホテルと国際リゾート地開発
  2―1 国際リゾート地開発前史――富士山麓の観光開発
  2―2 河口湖の政策的な国際リゾート地開発
  2―3 河口湖の国際リゾート地開発の事業計画
  2―4 富士ビューホテルの建築概要とそのリゾート空間
  2―5 富士ビューホテルと国際リゾート地開発
 3 川奈ホテルと国際リゾート地開発
  3―1 国際リゾート地開発前史――大倉喜七郎による川奈ゴルフ場開設
  3―2 川奈の政策的な国際リゾート地開発
  3―3 川奈の国際リゾート地開発の事業計画
  3―4 川奈ホテルの建築概要とそのリゾート空間
  3―5 川奈ホテルと国際リゾート地開発
 4 日光観光ホテルと国際リゾート地開発
  4―1 国際リゾート地開発前史――奥日光の開発
  4―2 中禅寺湖の政策的な国際リゾート地開発
  4―3 中禅寺湖の国際リゾート地開発の事業計画
  4―4 日光観光ホテルの建築概要とそのリゾート空間
  4―5 日光観光ホテルと国際リゾート地開発
 5 多様な国際リゾート地開発

結章 一九三〇年代国際観光政策に伴うリゾート空間の形成
 
あとがき

内容説明

一九三〇年代に「観光立国」を目指して設置された鉄道省国際観光局は「外国から観光客を呼び込め!」とさまざまな政策を推し進め、国際リゾート地を選定して国際観光ホテルを官民一体になって次々と建設した。上高地・雲仙・志賀高原・阿蘇・唐津・琵琶湖・富士・日光などでの計画から実施までの光と影を膨大な史料から描き出す。

目次

序章 幻の国際リゾート地・ニッポン
第1章 外客誘致事業の政策的展開
第2章 一九三〇年代の国際観光政策
第3章 国際観光ホテル整備の制度的背景
第4章 山岳地でスポーツ施設を利用した国際リゾート地開発
第5章 臨海地で景勝を利用した国際リゾート地開発
第6章 その他の国際リゾート地開発
結章 一九三〇年代国際観光政策に伴うリゾート空間の形成

著者等紹介

砂本文彦[スナモトフミヒコ]
1972年、広島県生まれ。豊橋技術科学大学大学院修士課程修了、東京大学で博士(工学)。高知工科大学助手、呉工業高等専門学校助手、広島国際大学社会環境科学部助教授、日本学術振興会特定国派遣研究者(韓国・成均館大学校)などを経て、広島国際大学工学部准教授。専攻は近代日本の都市・建築史。博士論文で日本都市計画学会論文奨励賞(2002年)、前田工学賞・山田一宇賞(2004年)を受賞、『景観デザイン』で日本感性工学会出版賞(2006年)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kaz

3
卒業研究のために読んだが、各地のリゾート化の過程が書かれており面白かった。観光立国を目指す現代日本と全く同じ事を、戦前にもやろうとしていたことはあまり知られていない事実である。今でこそ、海外旅行が当たり前な時代だが、当時はほとんど雲を掴むような話だったはず。それを実際に各地で国際観光ホテルを建設したりして実行しようとした当時の人の構想力に驚く。2016/12/07

smsh

1
1930年代国際リゾート政策として集中して建てられた、一連の国際観光ホテルについての建築史書。「鉄道官僚と趣味色の濃い華族」が中心となっていた故の纏まりの無さに惹かれる。大蔵省からの融資獲得スキームなども細かい。軍国主義直前の仇花のようなホテル群だが、戦後日本のリゾート地の礎となっていて、興味深い。知ってる土地のホテルの記載が特に面白く感じるのは当然か。個人的にはホテル経営者でありつつ自然環境保護に熱心な面もあった男爵の藤村義朗、帝国ホテル経営者の大倉喜七郎に興味がわいた。2011/08/25

メルセ・ひすい

1
箱根富士屋ホテルもこの時代に創立。写真多い。戦前のホテル ・3~40年代に建った・ と設計図多数。2009/01/04

なつやすみ

0
1930年代の国策としての日本の国際リゾート化はグランドツアーの流れを組むものだったが、戦争で途絶した。観光地巡りが楽しくなる本。2012/11/16

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