内容説明
ポジティブなイメージとして語られる高度成長期に農村部で拡大した自家製味噌造りや調理方法のリテラシー、旧正月から新正月への移行などを題材に、戦中から戦後に編成されていった「主婦」「家庭」という規範を読み解き、日常生活の微細な、しかし決定的な変容の実相に迫る。
目次
第1章 ふるさとの味をめぐる戦前―高度成長期前史の農村女性
第2章 「主婦」役割の編成と味噌自家醸造法の改善指導
第3章 調理の習得とリテラシー―「主婦」役割の受容と「家庭」意識
第4章 旧正月から新正月へ―「家庭」中心の年中行事への移行
第5章 お盆の戦後―帰省ラッシュ・成人式・盆踊り
第6章 「名物」の味/「家庭」の味―端午の節句と笹団子の現在
著者等紹介
矢野敬一[ヤノケイイチ]
1963年、札幌市生まれ。静岡大学教育学部准教授。専攻は日本民俗学、近・現代文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小鈴
16
最初から最後まで読むと、農村の共同体が解体され公/私が分離して私空間、「家庭」が成立していくのがわかる。農業の労働の担い手である嫁(家事は姑、嫁は農作業。姑いないと子どもが家事)が、国家政策のあとおしによる「主婦」という位置づけを与えられて嫁の地位を向上し、公私分離した家庭の「団欒」が生まれる。疲れた体を癒すためのかっこむだけの沈黙した食卓から会話が生まれる。生活改善運動で様々な栄養のあるおかずの作り方を学ぶ。華やかになる食卓。団欒のある食卓は、都市を除けば、農業の技術進化で農作業の負担が軽くなり、かつ高2017/01/05
小鈴
15
『家庭料理の近代』ではまったく触れられていなかった料理の政治性を理解した。大正期の生活改善運動が農村に広がり「主婦」という性別役割規範が浸透、戦局悪化で大政翼賛会が代用食探しとして「郷土食」を掌握するため各種調査(先に読んだが昭和10年代の郷土食の記録『聞き書愛知の食』の背景を知って愕然)。現在の味噌の味は、江戸から味覚を継承したものなんかではなく生活改善指導による近年のもの、旧正月から新正月への移行は戦前の話ではなく昭和30年代、共同体から家庭に正月が撤退。主婦の浸透は重労働からの開放の面もあったなど。2017/01/05
高橋直也
0
図書館の本。戦後の昭和の時代を振り返る本。景気が上向き、しきたりや伝統が廃れた時代のように感じていましたが、私はその時代に生まれ育ったのだなぁと感慨深いものがりました。世の中が便利になって廃れたものも少なくないけれど、懐かしく読ませていただきました。2020/10/04
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