内容説明
晩年のマルクスが構想した人類史の再構築を読み解く。第1部において、マルクスによるド=ブロス『フェティシュ諸神の崇拝』摘要を検証。第2部において、老マルクスによるフェティシズム概念のド=ブロス的再建過程を読む。
目次
第1部 検証・ド=ブロス『フェティシュ諸神の崇拝』ドイツ語訳の摘要(アフリカ先住民およびそのほかの野生諸民族におけるフェティシズム;現在のフェティシズムとの比較における古代諸民族のフェティシズム;フェティシズムの諸原因)
第2部 古代史・人類学研究の遺産(マルクスのフェティシズム論(若いマルクスのド=ブロス読書―聖なる人間の発見;経済学的フェティシズムの創始―転倒の世界としての宗教の夢幻境;老マルクスの先史研究―神を攻撃するフェティシズム再見)
フェティシズム史学の樹立にむけて(唯物史観の原始無理解;エンゲルス・クーノー・デュルケムの差異;原始労働を律するもの))
補論 フェティシズムと歴史知
著者等紹介
石塚正英[イシズカマサヒデ]
1949年、新潟県上越市(旧高田市)に生まれる。立正大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程満期退学、同研究科哲学専攻論文博士(文学)。1982年~、立正大学、専修大学、明治大学、中央大学、東京電機大学(専任)歴任。2008年~、NPO法人頸城野郷土資料室(新潟県知事認証)理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kasim
27
マルクスが単なる経済学者ではなく思想家だと実感する一冊。素人ながら、マルクスのフェティシズムと言えば物象化や疎外と結びつく、貨幣や資本への人間の隷属を示すものと思っていた。が、著者によれば晩年のマルクスはより本来的で積極的なフェティシズムに目覚めかけていた。神への絶対服従ではない相互関係を成す先史時代のフェティシズム。著者はもちろん原始讃美ではないと断っているものの、貨幣などの媒介なしに理想にかなう誰もが平等な文明が成立しうるのか、難しいところ。昔読んだ今村仁司の貨幣論も思い出す。2024/05/27
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