内容説明
1960年代から70年代にかけて培われた幻想―資本主義における完全雇用と福祉社会の実現―は打ち砕かれた。ここに階級社会としてのマルクスの資本主義観とピケティの警告する21世紀の資本主義の下での格差社会とがむすびつく。『資本論』と『21世紀の資本』を基本素材として、新自由主義の展開と破綻がもたらした現代世界の危機の構造を読み解く。
目次
第1章 格差の時代
第2章 r>gを読み解く
第3章 ピケティとマルクス―マルクスの反論
第4章 理解できない国、日本
第5章 ピケティとマルクスで読むアベノミクス
第6章 貨幣の謎
第7章 日本経済のピケティ現象
第8章 日本経済への提言
終章 我亡き後に洪水は来たれ
著者等紹介
奥山忠信[オクヤマタダノブ]
1950年、宮城県生まれ。東北大学経済学部卒。東北大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。同博士後期課程単位取得。経済学博士(東北大学)。埼玉大学経済学部講師、助教授、教授。埼玉大学経済学部長。上武大学学長。現在、埼玉学園大学経済経営学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yooou
7
☆☆☆☆★ 現在の日本政治経済の異常さについて辛辣な意見を述べるちゃんとした経済学者がいるということに一抹の安堵を覚えつつ、ピケティに対する反論も、旗色の非常に悪い政治経済学に対する思い入れもやはり踏み込み不足で、ぐるっとまわって今の日本の政治経済に対する影響力が極々わずかしかない日本の経済学という学問はどこへ行くのか。そして日本そのものはこれから先どうなっていくのか。甚だ心配ばかりが増大する本でありました。2016/11/28
紫の煙
3
日本という国の特殊性が改めて浮き彫りになった。破滅的な財政から目を逸らし、目の前の選挙のことだけ考える政治家ばかりであり、国民全体も同じである。20年以上成長しない国なんてあろうか?もう、先進国だとか豊かなんだとか幻想とプライドを捨てて、出直す事が必要だ。2017/02/18