内容説明
誰が今日のウクライナの危機的事態を招いたのか。米国政府内に残存する「ネオコン」(新保守主義者)による「デジタル外交」の実態を詳細に分析し、ウクライナに武装蜂起が起きた理由や背景を読み解く。
目次
序章 ウクライナを論じるための基礎知識
第1章 誰がウクライナ危機を招いたのか
第2章 ナショナリズムの煽動という大罪
第3章 軍事とエネルギーでロシアを攻撃する「ネオコン」
第4章 「デジタル外交」と情報操作
第5章 ウクライナの今後
著者等紹介
塩原俊彦[シオバラトシヒコ]
高知大学大学院准教授。1956年生まれ。ソ連・ロシア経済政策専攻。学術博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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榊原 香織
62
2014年刊 クリミア併合後に書かれた本。ネオコン陰謀説。 時のアメリカ大統領はオバマ。 副大統領バイデンの息子がウクライナのガス会社取締役。え プーチンが今回最初の頃ナチス、ファシズム、とか口走ってた意味は読んでわかった。2022/03/18
kan
19
ウクライナ侵略に関しロシアだけを悪者に仕立てるストーリーを喧伝する米国政府やメディアに対し警戒を促す書。クリミア侵攻時に緊急出版されたのか誤植が多く読みにくいが、現在のウクライナ情勢の背景を理解するのに新たな視点が得られる。ウクライナのナショナリズムと米国の進める植民地主義的民主主義に多くの人は気付かず、メディア外交に騙され、新自由主義の掲げるイデオロギーや軍拡や資源争奪に意図せず加担していると指摘する。ロシアを軍事面・エネルギー面で孤立させる戦略の大枠と緩衝地帯である国々の危機感がよく理解できた。2022/05/13
壱萬参仟縁
19
住民の1割以上が母語とみなす言語を地域言語として公式に使用することを容認。国民は客観的属性としての民族(エスノス)が重視(76頁)。ウクライナ東部:ロシア系が多く、石炭がとれ中央に反発。シェールガス埋蔵にパイプラインの分岐点(94頁)。北極には条約がなく、海の扱い(146頁)。帝国主義:覇権国家没落、新覇権国未確立の群雄割拠(204頁)。 2015/06/05
coolflat
8
ウクライナ危機の本質は、ネオコンによって主導された米国政府がウクライナの支配を狙って仕組んだ帝国主義的侵略にあると言う。ウクライナを将来的にEUやNATOに組み込んで、米国中心の秩序の中に同化させ、ロシアと対決しようと言うのである。ネオコンにとって「世界の民主化」は目的ではなく、利益を得るための手段にすぎない。ネオコンの利益の対象になるのは、シェールガス埋蔵地の支配や軍拡の継続、ウラン燃料輸出利権である。因みにシェールガス埋蔵地はウクライナ東部に集中しているが、これがマレーシア機撃墜事件の遠因となっている2015/02/04
JH
1
現在も進行中であるウクライナ問題と、その背後に存在するアメリカの詳細を扱った書。米国務省やCIAが中心となって計画されたものであることが本書で明らかになっている。イラク戦争を起こしたアメリカのネオコン(新保守主義)と呼ばれるグループが、今はウクライナに照準を定めて暗躍している。一番恐ろしいのは、このグループがイラク戦争でも介入したはいいがその後の泥沼化を予想出来なかった挙げ句に放り出したのと同じく、ウクライナが内戦状態になって人命がどれだけ失われようと意に介さない人間達であるということだ。2014/12/07