内容説明
60回目の桜桃忌、これが太宰作品の新しくておもしろい読み方。
目次
第1章 「水上心中」事件と結婚をめぐる謎(三十歳初夏にもたらされた縁談;「姥捨」が書かれた本当の理由;文学の仮構と実生活の虚構 ほか)
第2章 太宰の死顔は微笑んでいたのか(「富士」の描写の意味するもの;「月見草」はなにを象徴しているのか;太宰は「芸術的抵抗者」か ほか)
第3章 太宰治の死をめぐるミステリー(残されていた二つの瓶の謎;太宰の遺体を守る三人;二人を結ぶ紐を切ったのは誰か ほか)
著者等紹介
吉田和明[ヨシダカズアキ]
千葉県館山市生まれ。法政大学経済学部卒業。東京工業大学社会理工学研究科博士課程修了。80年代に総合評論誌『テーゼ』を創刊、主宰。大学やカルチャーセンターの講師を務める。現在、日本ジャーナリスト専門学校講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヒロミ
23
太宰の自伝的小説は果して私小説なのか?創作なのか?ファンの間で神格化されゆく太宰の肖像を解体し、実像に迫った労作。装丁がダサピンクでタイトルがケータイ小説みたいでかなり恥ずかしい点が勿体無い。かなりおもしろい評論だった。私は太宰も太宰の小説も大好きだが、過剰に持ち上げられ神の如き扱いを受けている点は以前から納得が行かなかったので、本書による客観的な考察を読んで胸がすく思いがした。郷ひろみと太宰を比較していたのは唐突で笑えた。著者の熱い想いが伝わる一冊。しかしタイトルはやっぱり恥ずかしい。2015/06/26