内容説明
戦争と人をめぐる旅。語り伝える人びとをたずねて。『月刊自然と人間』連載ルポルタージュ「あの日、日本のどこかで」待望の単行本化。
目次
レジャー湖の水底で起こっていたこと―神奈川県・相模湖ダム
地図から消された、毒ガスの島―広島県・大久野島
8月は、もうひとつの鎮魂の月―京都府・舞鶴 浮島丸事件
骨を掘る、若者たち―北海道宗谷郡・猿払村
ひとの命の重さが計られた―長野県・松代大本営
「首都防衛」の名残りを歩く―千葉県・館山
「従軍慰安婦の碑」は語る―千葉県・かにた婦人の村
大都会のミステリー、人骨の謎を追う―東京都・陸軍軍医学校跡地
異国で被爆した人びと―長崎県・岡まさはる記念長崎平和資料館
朝鮮半島との古い交流と、あの戦争―大阪府・タチソのトンネル群〔ほか〕
著者等紹介
室田元美[ムロタモトミ]
1960年神戸市生まれ。関西学院大学社会学部卒業後、広告会社のコピーライターを経て、フリーランスに。現在は主に女性誌のライター、FMラジオ番組の旅をテーマとした構成作家として活動するかたわら、各地を旅して戦争に関する取材を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
75
戦前・戦中に朝鮮や中国から日本に強制連行され、命を落とした人びとの眠る慰霊碑を訪ねるルポ(『月刊 自然と人間』2006-2010年連載の21話)。第1話は、1947年に完成した相模湖のダム開発。ここでは朝鮮労働者83名が犠牲になっている。次が、廃墟マニアの間で注目される毒ガス工場のあった広島県の大久野島。さらには、北海道宗谷郡・猿払村に1942年~44年にかけて「タコ部屋」労働でつくられた朝茅野飛行場、千葉県・かにた婦人の村にある「従軍慰安婦の碑」、炭坑事故で海の底に犠牲者が眠る長生炭坑なども出てくる。→2025/05/23
Nobuko Hashimoto
24
3週間ほど前、オンラインイベントで著者のお話を聞いた。日本の加害責任を反省し、亡くなった方を悼む記念碑の建立や、それを通した交流に取り組んでいる各地の事例だった。そのような活動は次世代間の交流も生んでいるようで希望を感じた。自国のことであるのに知らないことが多く、たいへん新鮮だった。そこで本書を取り寄せ。北海道から九州まで日本各地の取り組みが紹介されている。時間はかかるだろうがどこも行ってみたい。詳しくはブログに。https://chekosan.exblog.jp/30305640/ 2020/11/23
ののまる
12
朝鮮や中国からの強制連行で亡くなった方々が今も眠る炭鉱跡など、地元でも知られていなかった日本列島内の戦争加害の歴史。その地域に住む人たちが慰霊碑や記念館を建てて、語り継いでいる。教育現場で日本国内での加害の歴史こそ、きちんと教え続けないといけないのでは。2024/08/04