感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
更紗蝦
15
写真に添えられている文を読めば、著者の福島菊次郎氏自身は体制には批判的だということがはっきりしているのですが、写真そのものからは右翼や自衛隊に対する見下しや嫌悪感は感じられず、むしろかっこよく見える時さえあるほど被写体に対するリスペクトがあることが最初は不思議だったのですが、あとがきを読んで理由が分かりました。かつては著者自身が典型的な軍国少年だったため、翼賛体制に駆り立てられる人々の姿は「昔の自分」を写し出す鏡のようなものなのです。著者にとっての写真家としての活動は、「命をかけた内省」と言えます。2015/12/04
へへろ~本舗
4
ドキュメンタリー映画「ニッポンの嘘 報道写真家・福島菊次郎90歳」を観て本書を読んだ。戦争への道、軍国主義への流れ・原爆・差別・国家権力による暴力暴行など、福島さんの昭和史、社会の影の部分を次々と描き出していく。福島さんは生前今の雰囲気は戦争前夜の雰囲気に似ていると警告を発していた。あの道は二度と辿ってはいけない道。戦争で傷つくのは庶民であり、子供であり、弱者である。2016/01/01
yoshi
1
壮絶に迫り来る戦後の記録写真の数々。ひとりの人生を賭した昭和史、戦後史がここにある。ご冥福をお祈りします。2015/09/27
Z03
1
一枚一枚が物凄い力を持った写真の数々。そして端的で抉るようなコメント。この写真集はまさしく戦後の日本を写し出している。2015/08/10