内容説明
2015年に岩手県で発見された「常陸名所図屛風」(個人蔵、茨城県立歴史館寄託)は、17世紀末頃の常陸国の景観とそこでの風俗を俯瞰的に描いた、他に類例を見ない作品である。江戸前期の常陸国を生き生きと視覚化した本屛風には、現在では失われてしまった風景も含まれており、当時の地域の姿を伝える点でも貴重な資料である。本書は、この謎多き屛風を単なる名所絵としてではなく、地域内部からのまなざしに応じて制作された史料として捉え、絵画・地誌・紀行文を横断的に分析する。洛中洛外図の系譜に連なるこの作品が、地域社会といかに関わり、どのような視覚体験を提供したのかを探り、美術史上に位置付ける試みである。
目次
序章 研究目的と分析視角
第一章 「常陸名所図&#23643
風」の概要
第二章 「常陸名所図&#23643
風」の描写趣向
第三章 水運の表象―「摂津国名所港津図&#23643
風」との比較から
第四章 名所風俗図と絵図・航路図の交錯―絵画表現における地理把握
第五章 「常陸名所図&#23643
風」図様分析《前編》―先行図様の利用
第六章 「常陸名所図&#23643
風」図様分析《後編》―享受者と享受空間の考察
第七章 紀行文『ひたち帯』に見る元禄期常陸国の名所
終章 名所風俗図&#23643
風の系譜―地域に向けたまなざし
著者等紹介
猪岡萌菜[イノオカモエナ]
1988年、岩手県生まれ。千葉大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。成田山霊光館学芸員を経て、2026年1月より千葉大学大学院人文科学研究院助教。専門は日本近世絵画史、特に名所にかかわるイメージ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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