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内容説明
モネやルノワールなど、日本人がこよなく愛する印象派は、どのようにして日本の美術界に受け容れられてきたのか?明治後期に流れこんだ印象派は、日本の洋画界に新たな波をもたらした。なかでも「日本のモネ」と称された洋画家・山脇信徳は、その絵画表現によって注目を集め、印象派の是非をめぐる論争の渦中に立った。第三回文展で褒賞となった《停車場の朝》や、その数年後に描かれた《夕日》などの山脇作品は、画壇・文壇を横断した二度の大論争を巻き起こす。それは、印象派以降の西洋美術が日本に受容される際に生じる反発や葛藤の、いわば象徴的事例であった。本書では、山脇信徳とその絵画表現を結節点として、齋藤輿里、高村光太郎、岸田劉生、そして白樺派など、時代のキーパーソンの言論を丹念に読み解きながら、西洋美術の新潮流が日本にもたらした文化的衝突、そしてそれがしだいに「日本化」され超克されていくさまを明らかにしていく。
目次
はじめに 日本の印象派
1(山脇信徳へのアプローチ―洋画史・“日本のモネ”・言説史;西洋美術の新傾向をめぐる言説史―印象派、ポスト印象派を中心に;帰朝する新進洋画家―パイオニアとしての有島生馬・齋藤與里・高村光太郎)
2(「生の芸術」論争・再考―「DAS LEBEN」/「地方色」からみた山脇信徳《停車場の朝》;山脇信徳作品展覧会をめぐる「絵画の約束」論争・再考―「自己」か「公衆」か;山脇信徳「断片」の歴史的意義―フォーヴィスム/エキスプレッショニズムへ)
3(「自然」と「生活」をめぐる岸田劉生の芸術論―白樺派言説を補助線として;ヒュウザン会(フュウザン会)展覧会の同時代評価―印象派以降の展開
「心的印象」を象徴的に描くこと―萬鐵五郎の「新しい原始時代」)
結論 印象派の超克
著者等紹介
松本和也[マツモトカツヤ]
1974年生。立教大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了、博士(文学)。現在、神奈川大学国際日本学部教授。日本近現代文学・演劇・美術(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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