内容説明
江戸幕府の一部局として誕生した「天文方」は、暦の作成をはじめ西洋天文学の受容や測量、さらには翻訳や外交にまでかかわる多面的な性格をもつ存在だった。本書は、その始まりである貞享改暦から幕府の終焉まで、約一八〇年間にわたる天文方の歩みを、多分野の研究者による最新の知見で描き出す。和算・陰陽道・洋学など多岐に広がる学問領域を横断し、地域・組織・人物のネットワークを精緻にたどることで、これまで断片的にしか語られてこなかった天文方研究の空白を埋め、通史的な輪郭の描写を試みる。
目次
第1部 天文方の成立―貞享の改暦まで(天文方に至るまで―貞享改暦と天文方の役割;渋川春海の改暦と神道―保科正之・山崎闇斎との関係)
第2部 天文方の転機―徳川吉宗と宝暦の改暦(幕府天文方と和算家のネットワーク―建部賢弘から山路主住まで;徳川吉宗の数理科学書収集と長崎聖堂―『暦算全書』初渡来とその背景;『渋川氏記録』と明和期の天文方―執務形態と養子問題を中心に)
第3部 近世後期の二つの改暦(寛政の改暦から天保の改暦へ;寛政改暦以降の頒暦と天文方)
第4部 天文方の拡大と終焉(越中筏井家文書にみる高橋家と和算家との関係;阿蘭陀通詞と幕府天文方―馬場佐十郎を中心に;天文方による外交業務の展開―文化・文政期を中心に;開陽丸引き揚げ文書について―幕府天文方と開陽丸)
終章 幕府天文方の終焉
著者等紹介
佐藤賢一[サトウケンイチ]
近世日本科学史。電気通信大学大学院情報理工学研究科教授
梅田千尋[ウメダチヒロ]
日本近世史。京都女子大学文学部教授
平岡隆二[ヒラオカリュウジ]
科学史、東西交流史。京都大学人文科学研究所准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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