内容説明
日本で万国博覧会が語られるとき、当然のように七〇年大阪万博が中心に据えられる。今号ではそうした見方を相対化し、前後する時期に開かれた一連の万博を視野に収め、カナダの脱自治領化、沖縄の平和祈念公園、ヨーロッパ統合、皇室外交といった従来は万博と結びつけられてこなかったテーマから、この時代をとらえなおす。創刊号から続く「戦後万博特集」の第三弾。さらに、万博学研究会メンバーやゲスト執筆者による最新の万博研究、研究展望、コラムのほか、パビリオンにおける展示映像のアーカイブに関する提言など、多彩な論考を収録する。
目次
特集 大阪万博前後の世界(カナダ史と万国博覧会―モントリオールと大阪にみる脱自治領化と脱植民地主義の表象;沖縄国際海洋博覧会と平和祈念公園の成立―大濱信泉と稲嶺一郎の活動から;対談「昭和四〇年代論」の可能性―大阪万博前後の社会相;万国博覧会における欧州共同体の「結集」―沖縄(一九七五)・ノックスヴィル(一九八二)・つくば(一九八五)・バンクーバー(一九八六)を中心に
高松宮と万国博覧会―戦後の皇室外交におけるブリュッセル万博をめぐって)
万博学の最前線(魁の人・涛川惣助と博覧会―新都・東京で開いた七宝の新機軸;万国博覧会と帝国主義)