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内容説明
明治五年生まれの矢崎千代二は洋画の草創期から油彩画を学び、名を成しながらも、後半生は「旅の絵師」となって世界各地で出会う一瞬の光景を、「色の速写」と名付けた独自のパステル画法で描き続けた。画家の足跡は、最晩年に北京で徐悲鴻に託した一〇〇八点の作品に刻まれている。本書では、中国中央美術学院美術館に所蔵されるそれらの作品の悉皆調査を中心に国内外の資料を渉猟し、矢崎の生涯を追った。また、矢崎はパステル製造の国産化に尽力し、一般の人々へのパステル画の普及にも功績を残した。油彩や水彩と同じく、明治期に導入されたパステルが、日本でいかにして受容されていったのか。「顔料を練り固めただけ」という最もシンプルな絵具を巡る小史を記した。
目次
第1部 矢崎千代二の画業(外光派の油彩画家;旅するパステル画家(1)中国からインド、そしてパリへ
旅するパステル画家(2)南米での取材を経て、東南アジア、満洲へ ほか)
第2部 パステル画法と画材(パステル画の小史;パステル画法と画材研究―「色の速写」のためのパステル改造;国産パステルの創出)
第3部 北京に遺された一〇〇八点のパステル画(継承された畢生の作品群)
著者等紹介
横田香世[ヨコタカヨ]
1958年、三重県伊賀市生まれ。京都府の公立中学校で美術教員として20年間勤務した後、行政職に異動する(~2019年)。文化芸術関連の業務に従事し、パステル製造所を訪ねたことをきっかけに、パステルの色と材料特性および矢崎千代二に関する調査・研究を始めた。2016年、京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科博士後期課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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