内容説明
日本の七宝は一九世紀の万国博覧会で高い評価を得て世界を虜にしたが、二〇世紀に入ると七宝業そのものが衰退し、人々の記憶から失われた。そのため研究も手薄で、近代に新興産業として成長した実態はほとんど解明されていない。本書は京都の七宝家・並河靖之と並河七宝を中心に、同家に残された膨大な史資料の検討、製作環境としての庭園の存在意義、釉薬の科学分析などに基づき、同時代の尾張七宝や東京の涛川惣助七宝をも視野に入れ、近代七宝業のありようを明らかにする初めての試みである。
目次
明治維新と日本の七宝業
第1部 日本七宝業史概論(日本の七宝業の系譜―近世末まで;日本の七宝業の系譜―近代)
第2部 並河靖之の七宝業(七宝家・並河靖之の誕生;並河七宝の事業展開;七宝業がつなぐ並河の芸苑;七宝釉薬にみる明治期の七宝技法―並河七宝を中心に)
並河七宝と近代七宝業
史資料解題 並河靖之の七宝業に関する史資料
著者等紹介
武藤夕佳里[ムトウユカリ]
1967年、福島県生。京都橘女子大学(現、京都橘大学)文学部歴史学科卒業。京都造形芸術大学(現、京都芸術大学)大学院修士課程修了。博士(学術)。京都造形芸術大学(論文博士)。並河靖之七宝記念館主任学芸員、植彌加藤造園株式会社庭園研究開発室研究員、京都芸術大学日本庭園・歴史遺産研究センター客員研究員、京都美術工芸大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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