出版社内容情報
13、4世紀頃に中国で生まれたひとつの壺が、東シナ海を渡って日本に伝わり、16世紀に茶の湯の道具として「千種」の銘を与えられ、名物となった。やがて21世紀にはもうひとつの海、太平洋を渡り、アメリカ合衆国ワシントンDCにあるフリーア美術館(管理運営:国立スミソニアン協会)に収められた――唐物茶壺「千種」の歴史的な変遷を経糸に、「千種」をめぐる多様な文化事象を緯糸に織りなされた、壮大な物語。
日本、アメリカ、中国の研究者による、歴史、美術、考古学、科学などの多角的な分野を網羅した最新の研究成果を収録。
? 中国からきた茶壺
唐物が茶道具になったとき 竹内順一
唐物茶壺の展開 李寶平・栗建安(訳:中井淳史)
唐物茶壺 西田宏子
日本における唐物茶壺の考古学 井上喜久男
茶壺の役割―緑茶の味との関係― 大森正司
? 「千種」のすがた
「千種」について ルイズ コート(訳:松村真希子)
一六世紀の茶会記に記された「千種」の拝見記 竹内順一
「千種」をめぐる名 アンドリュー M ワツキー(訳:常田道子)
「千種」の口覆いについて 吉岡明美
「千種」の口覆いと名物裂・富田金襴 佐藤留実
染料――「千種」に附属する染織品から―― 毛利千香 ブライス マッカーシー
? 「千種」、ふたたび海を渡るまで
「千種」の伝来と唐物茶壺――江戸時代初期を中心に―― 岡佳子
野々村仁清作「色絵叭々鳥図茶壺」をめぐって 岡佳子
一七世紀以降の「千種」の伝来 熊倉功夫
皓々斎宗也筆「茶壺紐飾雛形書」について 岡佳子
「千種」と国際美術市場 ジュリア ミーチ(訳:前?信也 清水彩野)
「千種」関係史料集
茶会記・名物記等/「千種」附属文書/久田家文書
「千種」の主要附属品一覧/編者・著者紹介/謝辞
竹内 順一[タケウチ ジュンイチ]
岡 佳子[オカ ヨシコ]
ルイズ コート[ルイズ コート]
アンドリュー M・ワツキー[アンドリュー エムワッキー]
内容説明
一三、四世紀頃に中国で生まれたひとつの壼が、東シナ海を渡って日本に伝わり、一六世紀に茶の湯の道具として「千種」の銘を与えられ、名物となった。やがて二一世紀にはもうひとつの海、太平洋を渡り、アメリカ合衆国ワシントンDCにあるフリーア美術館(管理運営:国立スミソニアン協会)に収められた―唐物茶壼「千種」の歴史的な変遷を経糸に、「千種」をめぐる多様な文化事象を緯糸に織りなされた、壮大な物語。日本、アメリカ、中国の研究者による歴史、美術、考古学、科学などの多角的な分野を網羅した最新の研究成果を収録。
目次
1 中国からきた茶壼(唐物が茶道具になったとき;唐物茶壼の展開;唐物茶壼;日本における唐物茶壷の考古学;茶壷の役割―緑茶の味との関係)
2 「千種」のすがた(「千種」について;一六世紀の茶会記に記された「千種」の拝見記;「千種」をめぐる名;「千種」の口覆いについて;「千種」の口覆いと名物裂・富田金襴について;染料―「千種」に附属する染織品から)
3 「千種」、ふたたび海を渡るまで(「千種」の伝来と唐物茶壼―江戸時代初期を中心に;野々村仁清作「色絵叭々鳥図茶壼」をめぐって;一七世紀以降の「千種」の伝来;皓々斎宗也筆「茶壷紐飾節雛形書」について;「千種」と国際美術市場)
著者等紹介
竹内順一[タケウチジュンイチ] [Cort,Louise]
1941年生。東京藝術大学名誉教授。永青文庫理事。茶道美術史、陶磁史、美術館学
岡佳子[オカヨシコ] [Watsky,Andrew M.]
1954年生。大手前大学総合文化学部教授。日本文化史、陶磁史
コート,ルイズ[コート,ルイズ]
1944年生。国立スミソニアン協会、フリーア美術館・アーサー・M・サックラーギャラリー学芸員。陶磁器
ワッキー,アンドリュー・M.[ワッキー,アンドリューM.]
1957年生。プリンストン大学教授。日本美術(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。