内容説明
平家物語は、単なる本文異同にとどまらず、享受と改変が繰り返され、様々なヴァリエーションを生み出していった物語である。治承寿永の源平争乱という“歴史”を題材に、様々な“物語”―諸本を生成してきた編者たちの思惑とは、何であったのか。本書では、平家物語諸本の比較を通して独自の表現や記事、改変された部分をあぶり出してその基盤を追究し、物語生成の動機や場、背景をつぶさに考察する。
目次
第1編 延慶本平家物語と『宝物集』(燈台鬼説話の位置;「六代高野熊野巡礼物語」の展開)
第2編 長門本平家物語の展開基盤(位争い説話の展開;三鈷投擲説話の展開)
第3編 南都異本平家物語と熊野三山―「維盛熊野参詣物語」をめぐって
第4編 『源平盛衰記』と地蔵信仰(西光廻地蔵安置説話の生成;西光と五条坊門の地蔵―西光地蔵安置伝承の系譜;忠快赦免説話の展開;「髑髏尼物語」の展開;「重衡長光寺参詣物語」の生成)
第5編 「共通祖本」の生成基盤(「旧延慶本」における阿育王伝承;「旧南都異本」と『高野物語』の関係)
著者等紹介
浜畑圭吾[ハマハタケイゴ]
1978年生。龍谷大学大学院文学研究科博士課程単位取得。博士(文学)。現在、高野山大学文学部助教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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