出版社内容情報
どこに行っても春先には不意に
喇叭水仙に会った
けれど本当の喇叭水仙の咲く場所はわたしだけが知っていた (「喇叭水仙」)
生けるものたちに
「一番やさしいものが/太古の野原に咲き出していた」。
巡る季節、渦巻く音楽。広島での幼少期、父母の記憶、戦争の傷痕、何世代もの夢。
長い時間を包含し、生きるものたちの愛と痛みを見つめる。10年ぶりの新詩集。
中本道代[ナカモトミチヨ]
著・文・その他
内容説明
広島での幼少期、父母の記憶、戦争の傷痕、何世代もの夢。長い時間を包含し、生けるものたちの愛と痛みを見つめる。10年ぶりの新詩集。
目次
帰郷者
ハイキンク
学校跡
学校
痕跡
時間について
丘の上
昼顔
裏の白い道
神田川〔ほか〕
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hirom
4
衝動買いした。読み終えたばかりで感想はまとまらないが、きっと感想はそう変わらないので書いてしまう。所謂現代詩としてなじみある詩語が散見され、猪や鹿、毒蛾や宇宙、蜥蜴や蛇などが登場する。短歌になれた目には刺激的で、ややもすると引いてしまう。歌われているのは命や歴史や過去や宇宙。最近読んでいた現代詩の中ではおそらく最も古典的な詩情だと思う。でも自分が求めるのとはちょっと違うと思った。スタイルというか情感がすこし古い。『接吻』、接吻。懐かしい響き。でもいまどき接吻という言葉自体を見ない。2018/08/26
新田新一
1
今の日本では詩が読まれていないので、中本道代のことはあまり知られていませんが、現代の日本を代表する詩人の一人ではないかと思います。現代はどんな美しいものも、すぐに消費の対象にされ、手垢のついたものになってしまいます。詩も例外ではありません。では、どうすればよいのか。ありふれた表現を避けて、見落とされそうなものの美を控えめに書いていくのが一つの方法です。この詩人の書き方にはそんな面があり、読みたびに新しい世界が開けて、この世にはまだ美しいものが残っている、と気付かされて嬉しくなります。2023/06/18
ホワン
0
好きな詩人。今回もたくさん良いなと思うフレーズがあった。「わたしの年齢の一番妖しい時」「幸福だったことがあった小さな獣たち」「瞳と瞳を貫いた稲妻が体深く入り込んだために」2025/02/06