出版社内容情報
日のあたり時と所に
みえているこの光景が
これと逐一同じべつのものだとしても
だれがちがいをかたりうるだろう
「現代詩手帖」に「写生の試み」として連載された作品を中心に、見えるものをとおして見えるものの具現を試みる。そのためには「見えないところを遠まわりしてこなければならない」(『雲の行方』)という。前詩集『明示と暗示』から7年、さらなる追求の先に見えてくるもの。
貞久秀紀[サダヒサヒデミチ]
著・文・その他
内容説明
「現代詩手帖」に「写生の試み」として連載された作品を中心に、見えるものをとおして見えるものの具現を試みる38篇の小景。
目次
この岩を記念して
みづみづしく涌くもの
ふたつの地道
具現
行く日
外のなかで
知らせとともに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
37
具現の二文字が表すもの。眼にしているようで、していない。それ具現してみる。山、岩、風景。今までにない詩の世界を感じる。2023/10/26
袖崎いたる
6
具わり現れるもの。現れ具わるもの。序文で撃たれる。2018/03/17
haikaino
5
初めて見るもののように現れた徴が徐々になにかに似ていると思われてくる時、なにに似ているのか一気に問い合せがなされていく。予感のなかで見たものと余韻のなかで見るものとは、どれほど隔たったものだと言えるのだろうか。2020/02/11
おとむらい
1
手品のように分からなくなって読み直すことがあった、終わり方も風変わりだと思いながら読み進めていたが、終盤の頃には、何も気の衒いの無いものに対して、変わったものばかり見てきて自分のピントがおかしくなっていたのでは無いかと考えていた。のだけど、やはり明らかに技術があって、その自然さがあまりにも巧みなのだろうけど。2025/01/02