出版社内容情報
入っておいでわたしの虎
わたしもそこへ入っていくよ
(「トレスパッシング」)
「詩の言葉は跳躍できるだろうか。(…)星座という名の街をそれぞれの葛藤を抱えつつ跳躍していくキャラクターたちの青く光る軌跡を、強く、深く、思い浮かべていました」(あとがき)。イメージのなかで増殖してゆく野性。「現代詩手帖」で話題を呼んだ連作「Tiger is here.」を含む、この先の未来のための22篇。装画=山中ヒコ、装幀=小宮山裕
川口 晴美[カワグチハルミ]
著・文・その他
内容説明
「現代詩手帖」で話題を呼んだ表題シリーズを含む22篇、この先の未来へ向かう最新詩集。
目次
幻のボート
コンパスローズ
トレスパッシング
クラッシャーを夢みる
ワイルドフラワーの森
水は遠くにある
夏の果は血のように滴る
どこにもない家と部屋のこと
夜を走る
朝の出来事〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
行加
4
不純な理由で、生まれて初めて買った詩集です。勿論、川口さんの詩も初めて(^_^;)。様々な「虎」のイメージで描かれた、詩のシリーズと、少し怖いイメージを抱かせる詩のシリーズの二部構成です。「虎」と川口さんの自叙伝的な要素が同時進行していて、カッコいいだけではなく、ザラザラしたイメージの魅力的な詩集でしたv (「ライフ・オブ・パイ」や某バディアニメをご存知なら、きっと興味深く読めると思います!!) 2016/01/24
たお
3
ずっしりと重たい詩集 心理的にゆるゆると追い詰められる現実と、遠く希望の光が射す架空の都市。 虎の影を追って魂が飛翔する。2016/06/30
スイ
0
アニメ「タイガー&バニー」をテーマにした詩を中心にした詩集。 鉄腕アトムとかはあるよね。 ドラえもん短歌だってあるし。 でも「古典」になっていない作品だと驚く。 実際の詩は、タイバニが好きでたまらないのが行間からだだ漏れで、その好きさは清々しいのだけど、詩として読むには少々近過ぎて熱過ぎて、もう少し熟成させてから書いたものを読みたかったと思った。 「ライフ・オブ・パイ」がテーマのものの方が、距離を置いた冷静な書き方で好みだった。 私も最後まで残すのは虎。 他、父の死と帰省についての詩が、強く印象に残った。2016/03/15
とかげ
0
TIGER&BUNNYから辿ってきました。雑誌連載時に何篇か図書館で読んだし、数年前にふと思い出して購入したものの、作者の作風が詩とは思えない程重く、数篇読んでは閉じるを繰り返していて今日ようやく。良い意味で混乱というか、切り口からダッと踏み込んで飛んで加速して息継ぎもせずにまくしたてるような、視界がくるくる変化して静か。東日本大震災もそうだしシュテルンビルト市民はみんなヒーローに助けてもらった。もはや血肉となり生活となり、自分の郷愁とも切り離せない。でも視聴者だからヒーローの苦悩も少し知っている。2020/12/30