内容説明
途方もない、生の淵にのぞむ、反世界の詩学。緊密にして馥郁たる、魂の40篇。
目次
九月
白瓜
秋の花
盥の舟
遠い川
砂丘
極楽寺坂
舟守
桔梗
丙午〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gu
2
「〜である」「〜のである」「〜だけだ」の繰り返しによって、死者と夢が入り交じる光景が、自明のものとして、驚くにはあたらない、ただ受け入れるほかないものとして語られる。この世のものではない者の笑顔がいつも印象に残る。2013/07/05
Cell 44
1
みな、よくいる男や女の、夢の話に過ぎない。この詩集に、その夢が書かれてある、それだけだ。つまり、人はみな、この詩集で夢を見て、月の下、芒に囲まれ、静かに死んでいるのだ。と思わず真似したくなる。「つまり」「だけである」「ねばならない」などの中、この老いの幻想世界は圧倒的な既視感とノスタルジーを帯び、心の底にある、あの行ったことのない故郷が呼び覚まされる。2012/10/26