内容説明
見えない鎖でつながれたアメリカという土地で、魂の故郷アフリカに憧れ、その生命力を保ち、ルーツに創意を加えて生まれた黒人詩のアンソロジィ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
17
表題となっている「不思議な果実」とは「南部の木には不思議な実(strange fruit)がなる 葉には血 根にも血 そよ風が吹くたびに 黒い何かがゆらゆら揺れる ポプラの木には不思議な実がなる」という歌詞の、ビリー・ホリディが使命感からレパートリーに加えた歌で、リンチにあって殺された黒人の死体を歌ったものである。ラングストン・ヒューズやカウンティ・カレンはやはり出色だが、マーガレット・ウォーカー、ルロイ・ジョーンズらの詩も読ませる。全体に素朴な歌いぶりであるが、黒人詩人たち独自の可能性を感じさせられる。2020/09/10