内容説明
サルトルとはなにか。「嘔吐」のロカンタンの絶望は、あなたの絶望であった。「存在と無」の存在論は、私たちの存在と虚無を賭けていた。あのサルトルのモチーフは、いま見失われてしまったのか。没後10年。20世紀最大の作家、思想家の問いかけたものはなんだったか、サルトルにこだわる筆者たちが戦後思想、戦後文学を総検討する。
目次
エッセイ(先斃者サルトル―鎮魂の言葉;サルトルの翻訳について―形式(文体)の移植ということ
『嘔吐』の異物性について―21世紀への宿題
回想―初期の小説をめぐって
どう答えるか―『アルトナの幽閉者』が引き起こすもの ほか)
論文(「存在するものは現実存在しない」―『嘔吐』は実存主義の小説と言えるか;サルトルと現代小説―対ロブ=グリエ;書くことと読むことのあいだ―『文学とは何か』再読;存在と無のあいだ―ヴェネチアのサルトル;サルトルのマラルメ論―神と贈与/詩と空間;反存在論あるいはマスター・キー―サルトル/メルロー・ポンティ レヴィ・ストロース ほか)
翻訳(サルトル全体的知識人の創出;偉人の肖像;顔;ハーマン・メルヴィルの『白鯨』 ほか)
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