出版社内容情報
明治・大正・昭和の三代にわたり、日本の怪奇幻想文学史に不滅の偉業を打ち立てた、不世出の幻想文学者・泉鏡花。本書は、鏡花の名作佳品の中から、なぜかこれまで文庫化されていなかった、恐怖と戦慄と憧憬に満ちた怪異譚を蒐めた一巻。闇に明滅する螢火を思わせる「女怪幻想」の数々は、読者を妖しき異界へと誘う。
内容説明
明治・大正・昭和の三代にわたり、日本の怪奇幻想文学史に不滅の偉業を打ち立てた、不世出の幻想文学者・泉鏡花。本書は、鏡花が遺した名作佳品の中から、なぜかこれまで文庫化されていなかった作品群―とりわけ恐怖と戦慄と憧憬に満ちた怪異譚を蒐めた。闇に明滅する螢火を思わせる「女怪幻想」の数々は、読者を妖しき異界へと誘うことだろう。
著者等紹介
泉鏡花[イズミキョウカ]
1873年~1939年。金沢生まれ。1890年に上京し、翌年、尾崎紅葉門下となる。95年に発表した「夜行巡査」「外科室」が“観念小説”と呼ばれ確固たる地位を得た。近代における幻想文学の先駆者として評価が高い。また、生誕百年の1973年には金沢市により泉鏡花文学賞が創設された
東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年神奈川県生まれ。アンソロジスト、文芸評論家。82年から「幻想文学」、2004年からは「幽」の編集長を歴任。11年『遠野物語と怪談の時代』で日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
39
美しかったです。未発表の作品をおさめた短編集です。ひとつひとつの物語が幻想的なだけではなく、恐怖の旋律も感じます。妖しい世界へと誘われました。2024/01/07
まさ
27
闇に灯る妖しい明かりに引き寄せられてしまう。怪異と気づきながらもその世界に身を委ねてしまう。『幻往来』や『紫障子』など、作品に登場する人物の健気な姿同様、鏡花の美しい文章に宿る魔力に浸され悶えた。これらが1冊に収まっていることで何度も読み返しやすくなるだろうな。「小説篇」となっていることに、次作アンソロジーも楽しみになる。 2021/10/10
くろばーちゃん
5
鏡花といえば、絵本になっている『化鳥』や、天守物語くらいしか読んでなくてまだまだ憧れの存在。このアンソロジーに載っている作品は、私には読みこなせなかった。なんとなく怪しい雰囲気は伝わるのだが、誰のセリフなのか、この場面には誰と誰がいるのかなど、わからなくなってしまって情景を思い描けなかった。"戯曲編"も積んであるので、そちらを読み、周辺の作家の作品を読んでから読み返したい。2021/12/17
SOLVEIG
3
やっと読了……という感じ。好きな世界なんだけれど、かなり苦戦。難しいと言うのとはちょっと違う気がするのだけれど、「読み辛かった」というのが正直な感想。結局どういう話なのかはなんとなくわかる気はするのだけれど、文章表現、言葉(単語)の使い方等々に慣れなきゃ駄目だなと。そんな中、『尼ヶ紅』は長かったけれどついて行けた方だったかなと思う。戯曲編も積んであるので、後日そちらにも挑戦する。そして、時を置いて、本書も再読してみようと。 とはいえ、「似たようなパターンが多いかも?」という印象もどこかに。。。2022/03/06
丹尾瀬
0
「高桟敷」の言い知れない不気味さ 「尼ヶ紅」の蛇と桔梗 「霰ふる」の霰の降る夜に子ども二人 思い浮かぶ情景が懐かしく感じてなんだか不思議 2022/09/25