内容説明
本書では、イマジスムの結実としての『仮面』の初期詩篇から、翻訳の詩学の先駆的実践『中国』全篇、そして『詩篇』中の絶唱『ピサ詩篇』までを抄録、巨星の全容の通覧をはかった。アメリカ現代詩の源流と見なされながら、祖国アメリカから反逆罪に問われた20世紀のオデュッセウス、パウンド。永遠の放浪者にして文明の感受性の変革者。その芸術的冒険の独創と卓越は、いまだに解かれえぬ20世紀の謎、未来への波動である。
目次
六行聯詩・アルタフォルト
フランチェスカ
ローマ
画像
庭園
春
白大理石
協定
舞い姿
淑女〔ほか〕
1 ~ 1件/全1件
- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
磁石
11
一通り読んでみても、解読することが難しい。平易な言葉で書かれていて、その一つ一つに燃えるような熱を感じるのだけれど、それをどう言い表せばいいのかわからない。ヘミングウェイのストイシズムに似ているような、そのエッセンスを取り出したかのような壮絶さ。後書きの解説に「詩人とは言葉の現実把握能力を回復させること」と、だから現実の社会では革命的にならざるを得ないとあったが、正しくパウンドにピッタリ。迷ったりへこたれたりした時に読みたい、読んで気合を入れ直したい。2015/07/05
岡部淳太郎
3
パウンドを読むには、これだけの分量ではやっぱり物足りないと思ってしまう。
幼女
1
卒業論文の導入に読んだ。詩人パウンドは、第一次世界大戦前後のロンドンでモダニズムの火付け役として、批評・芸術家支援を通じた活躍が光る人物。エリオットやジョイス、ヘミングウェイ等当時の名だたるモダニストたちは総じて、Poundによる指導・援助を受けていた。そんなパウンドの革新への執着や東方への憧憬、芸術と世界への憂いがコンパクトに纏まった詩集。若かりし詩人の意気込みの表れ「アルタフォルト」、自己やロンドン社会との訣別を告ぐ「HSM」は必読。城戸氏の解説は、読者の脳内にイメージを組み上げる詩人独特の良文。 2019/12/24
refloppi
0
よくわからなかった。フェノロサの遺稿を元にパウンドが英訳したものを日本語にしたらしい陶淵明の詩は気に入った。2017/11/22