感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
27
全編蛇について書かれた詩が収録されています。読みながら、聖書に出てくる蛇のことを思い浮かべました。聖書の蛇は邪悪な存在ですが、ここでは蛇自体が苦しみつつ生きていることが書かれています。一番最後の詩「蛇苺」がまさにそんな詩で、「罪の始原を熟れている」と結ばれます。悪自体が苦悩するという見方はおかしいのかもしれませんが、人間がそれを肯定しないからだと言えるかもしれません。悪をただ退けるのではなく、善と悪の両極の中でバランスを取るのが人間の生き方なのかもしれない、と思わせてくれる詩集です。2024/10/06
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