内容説明
独特の魅力を放つ亀之助の詩群を構造分析し、その知性と批評性に真正面から切り込む。詩人の戦略を解き明かし新たな位置づけを与える、画期的詩論。
目次
序論 「尾形亀之助」という立ち位置
1 『色ガラスの街』―大正的解体過程の共時的現われ(メルヘン的詩と詩の産出の場としての「部屋」;未来派の書き換え;「アナロジイ」と商品化する詩;尾形亀之助の気象学;顔・侵入者・「日本的なるもの」)
2 『雨になる朝』そして『障子のある家』―「部屋」の言語化と「無」の露出(「超現実的」詩と風景の回帰―『雨になる朝』について;「ありふれたこと」の回帰;ハイデガー的指し向け構造とその壊乱;風景に於ける「無」の現われとしての「昭和的なるもの」)
結論 「その次へ」
著者等紹介
福田拓也[フクダタクヤ]
1963年生まれ。慶應義塾大学文学部仏文科大学院博士課程中退。パリ第8大学博士(ポール・エリュアール研究)。第32回現代詩手帖賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月
3
「色ガラスの街」「雨になる朝」「障子のある家」と尾形亀之助には三つの詩集がある。色ガラスの街から障子のある家へと至るまで、同じ詩人がどのようにしてこう変化したのか。基本的な芯は通ずるものがあったとしても、その太くなる芯が哀しいほど時代と亀之助の境遇(胸中)を物語っている(普通には読みとれないほどに)。そして、本著者の福田拓也氏、亀之助論の秋元潔氏とも最後の詩集「障子のある部屋」こそが尾形亀之助であると。2023/07/22
sk
3
尾形亀之助は、大正期の西洋風・前衛風の詩によって抑圧された日本的な無を昭和期に反復した、という論旨。日本的なものとして「部屋」の表象にこだわりを見せている。論旨が単純明快で読みやすかったが、もっとひねりが加えられていると更によかったと思います2014/11/12
yoyogi kazuo
0
出だしは面白かったがハイデッガーと絡めて論じるあたりからちょっとついていけなくなった。前衛芸術運動から独特の日本回帰に至るという観点から亀之助の詩を論じるというテーマ自体は面白いと思う。2023/06/10




