内容説明
文学は戦争という現実を回避することはできない。いかにして人間の救いがたいニヒリズムを瓦解させるか。9.11以後の、詩と小説の最もアクチュアルな光景を照射する、文芸評論の精髄。
目次
第1部 二十一世紀の戦争(文芸批評の方法―北川透『中原中也論集成』を手がかりに;文学の普遍性について―井坂洋子・多和田葉子・小川洋子;悲劇の時代と『チャタレイ夫人の恋人』―小林秀雄の戦争観から;普遍思想としての「修辞的現在」へ―存在不安と吉本隆明;近代という背理―鮎川信夫の歴史観;ポリネシアの幻想―もう一つの戦争詩・吉田嘉七論;二十一世紀の戦争―瀬尾育生と稲川方人;贈与と蕩尽―二〇〇八年展望)
第2部 九・一一以後の作家たち(九・一一以後の作家たち;二〇〇三年文芸時評;二〇〇四年文芸時評;二〇〇五年文芸時評)
死と贈与―二〇〇六、二〇〇七年回顧
天命を知るということ―大岡昇平『レイテ戦記』へ