内容説明
「短歌的抒情」への苛烈な批評から日本語の感性、日本の精神風土の基底を剔抉し、戦後の混乱期にいち早く生の指針を呈示した詩論=文化論の名著。
目次
詩論1~234
続詩論235~288
想像力
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
27
歌会始から交通安全標語、浪花節、軍歌に至るまで、あたかもこの国の人々の血肉となっているかに思える(そう思えてしまうことがすでに呪縛)七五調の韻律を、奴隷の韻律として拒否する詩人にとって、詩は思索であり批評であり、既存の韻律に代わる新しいリズム(たとえそれが読むものを居心地悪くさせるものであっても)の探求であった。その起源において詩が祈りだったとしても、今や祈りはむなしく、陶酔は醒め、感傷にひたるのも馬鹿らしい。桑原武夫の第二芸術論と同時期の執筆だが、射程ははるかに広く、批判ははるかに尖鋭的である。2024/07/08
かふ
17
詩論は戦時のもので詩人が大政翼賛化する中で書かれた。今読むと若書きのアフォリズムで理解すのが難し。解説と戦後書かれた続詩論の方から読むべきだった。それもいきなり短歌は嫌いとか、小野十三郎の感情面がほとばしる。それは自由にものが言えなかつた戦時への個人の抒情なのだろうか?小野十三郎から影響を受けた人の解説を読んで、そういう自由なのかと思った。それが自由詩なのだ。2025/09/27
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3
「詩が祈りに近くなるにつれ、言葉が醇化されるということは、多くの詩人や批評家や詩愛好者の理想とするところかもしれないが、私は自分の詩 の言葉がそのような方向において醇化され、単純化されてもうれしくない。なぜなら私は、現代詩はそういう祈りの空しさ、ごまかしを知っており、そこへ追いこまれたくないために抵抗している詩だと信じているからである。祈りを拒否する詩だと思うからである」(250)2023/06/14




