内容説明
詩とは、まさに言語におけるアンティ・コスモスにほかならず、その矛盾性によって、世界そのものを支えるものになるのではないか―21世紀が到来してから刊行された10冊の詩集を論じ、大きな反響を巻き起こした「手帖時評」を中心に、現在と対峙する詩的思考を集成する。世界・存在・時間を、詩は、どのように貫くのか。
目次
1 海洋性(海洋性 世界は何で出来ているのか―エリオット『荒地』;存在が始まるとき―岩成達也『(ひかり)…擦過。』
アンティ・コスモス―和合亮一『誕生』 ほか)
2 さまざまな波頭(文明が衝突するところで―ロドリゴ・レイローサ『アフリカの海岸』;半過去の気配―アンソニー・ドーア『シェル・コレクター』;叡智の声/未来への長い手紙―ゲーリー・スナイダー『終わりなき山河』 ほか)
3 海流を生むもの(翻訳の詩学―西脇順三郎とエズラ・バウンド;詩の幾何学―北園克衛と西脇順三郎;色彩感情の余白に―竹中郁 ほか)