内容説明
80年代から90年代にかけての詩の実現の困難を正面に見据え、「モダン」と「ポスト・モダン」をキイワードにさまざまに現象する詩の作品を精緻に論じながら、現代詩の可能性をあくまで「隠喩」の本質のなかで探る。さらに現代詩の諸問題を現代思想のホリティクスで読み解き、詩の可能態と読解の方法を拡大させてゆく。詩と言語への根源的な力への信頼に貫かれたニュー・クリティシズム。
目次
主題なき現代詩―1990年詩壇展望
〈戦後詩〉の発端
〈戦後詩〉とポスト・モダン
戦後詩パラダイムの解体
「凶区」的60年代詩論覚書
他者はどこにいるか
表現論という問いをめぐって
構造としての喩―現代詩にとって〈喩〉とはなにか
隠喩的思考
〈モダン〉の思想的極限―最後の鮎川信夫
孤独な詩的転換装置―大岡信の詩の原理
モダンでクラシカルな―谷川俊太郎詩集『メランコリーの川下り』をめぐって
批評的距離の無化―谷川俊太郎『世間知ラズ』の方法
飯島耕一の仕事―『虹の喜劇』にいたる
原理的志向の行方―北川透とは誰か
菅谷規矩雄と批評のエロス
現代的抒情の根源へ―辻征夫論
氷見敦子をめぐって
思考と〈現在〉のあいだ―吉本隆明『言葉からの触手』に関連して
問われる思想の〈現在〉度―埴谷・吉本論争を読む
ポスト・モダンの問い―リオタール『ポスト・モダンの条件』をめぐって〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
すな
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タイトルから想像した内容と少し違い、主に「戦後詩」「以降の詩人」「ポストモダン」についての評論集だった。吉本隆明・鮎川信夫への言及が多い。 正直ぜんぜんこの辺りは知らないので、私が本著を論ずることはできない。勉強になった。昭和末期~平成初期に書かれたこれらを令和のいま読むことで、連続性が少し見えた。また巻末のポストモダン論は驚いた。リオタールが現在のルールを正確に予知していたということである。というよりはそれらが現代の基盤であり、そして…いまやテクノロジーを首魁として次のタームへ移行しているのだろうか。2020/01/04
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