感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぷら
6
現代詩文庫なるものがあると初めて知り、文庫本サイズかと思いきやそれよりやや大きめで驚いた。 それより何より驚くべきは詩人の書くこの文章。このように詩を織り込む方がいらしたとは…。誰かの投稿で知った詩集の為、発信者に感謝。 これが詩である、と始めは思えなかった。優れた文学、それも幻想文学と呼ばれる類ではないかと思った。行分けではなく散文で綴られた、物語のようだったから。けれどこれは『半島』という詩の概念の表れなのかしらと。 再読して咀嚼したいし時里さんの詩集をもっと買いたい。本棚に迎えたい。素敵でした。2024/11/03
月音
5
詩集?いや、これFT,SF小説ではないの?山尾悠子作品ぽいなと思っていたら、当のご本人が巻末に一文を寄せてらした。見えていてもない島と、見えないけれどある島、名井島。言葉は島から半島へ陸へと運ばれ、変容を繰り返し、世界が再構築される。弓を楽器として荒ぶるつわものの伝説を語る人々、天の都を領すと語られた廃帝、「とりかいの観音さん」に取り替えられた子、月浴(つきあみ)をする猫を抱く人形歌人…。これらはずっと昔の出来事のようであり、これから先の未来の出来事のようであり。世界はゆるりと環を描く、ウロボロスの蛇。 2024/12/03