内容説明
日本の語学者の語源説が明らかにしたモノノアハレとまさしく等質の、世界と主体との対立。それを安藤元雄は言葉の藝の限りを盡して、しかし伝統的な日本美の流儀とはずいぶん違ふ流儀で、丁寧に、精細に、花やかに描き歌う。既刊詩集の全て、数多くの未刊詩篇を収録。主要詩論、クリティック、エッセイなどを収録。多彩な書き下し作品論、詩人論を併録。
目次
詩集『この街のほろびるとき』から
詩集『夜の音』から
詩集『カドミウム・グリーン』全篇
連作詩『めぐりの歌』全篇
詩集『わがノルマンディー』全篇
一輪車で遊ぶ少女
未刊詩篇
詩論・エッセイ
著者等紹介
安藤元雄[アンドウモトオ]
1934年3月東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒。58年、時事通信社入社、のちパリ特派員。65年から國學院大学で、73年から明治大学で教職につく。現在、明治大学名誉教授。詩集に『水の中の歳月』(80年、高見順賞)、『夜の音』(88年、現代詩花椿賞)、『めぐりの歌』(99年、萩原削太郎賞)、『わがノルマンディー』(2003年、詩歌文学館賞、歴程賞)、ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sk
3
行分けの抒情詩にさえ、行分け詩の強度と共に散文的強度をまとわせ、マクロな観点からの俯瞰を忘れず隅々まで配慮がいきわたっている。ダンディかつおしゃれである。こんな味わい深い詩を書いてみたいものだ。詩論も新井豊美の評も面白かった。2014/12/05
せがた三四郎
0
「彼女のコートもカドミウム・グリーンだ/運河の黒い水にはよく似合うだろう」とか「私は何も持たず 何も失わず/星の形をした砂粒の中で/失うことの恐れに取りつかれていただけだ」とか、好き。声を出して読みたい。 「死者の笑い」に出てくる詩人を知ったのもこの本のおかげ。2014/02/19