目次
詩集「悪霊」全篇(冷血;妖怪 ほか)
詩集「鏡と街」から(苦痛にあえぐ男の肖像;血だらけの虚無の雄鶏 ほか)
詩集「化体」から(月明;化体 ほか)
拾遺詩篇(大鍋;南瓜について ほか)
エッセイ(「卵」と「馬」;滄海月明珠有涙 ほか)
作品論・詩人論
著者等紹介
粕谷栄市[カスヤエイイチ]
1934年茨城県古河市に生まれる。現在まで同地に居住。1956年、早稲田大学商学部卒業。在学中「早稲田詩人会」所属。1957年「ロシナンテ」参加。石原吉郎を知る。1972年「歴程」同人となる。1995年、高貝弘也、江代充、法橋太郎と「幽明」創刊。著作に、1971年詩集『世界の構造』(詩学社)第2回高見順賞受賞。1976年現代詩文庫『粕谷栄市詩集』(思潮社)。1989年詩集『悪霊』(思潮社)第27回藤村記念歴程賞受賞。1992年詩集『鏡と街』(思潮社)。1999年詩集『化体』(思潮社)第15回詩歌文学館賞受賞。現在「歴程」同人
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感想・レビュー
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弟子迷人
8
カフカ好きな人にも、ぜひぜひお薦めしたいなぁ。安部公房をギュッと凝縮したような作品もあるし。「物語」のある詩なので、「詩的短篇」として読んでみてほしいです。2014/06/16
桐ヶ谷忍
7
異界・幻想・物語詩。一作を除き全て散文詩。どの詩も陰惨。異様。ただ、読後は嫌な感じは受けなかった。たまたま今、最果タヒなどをめくっていたのだけど、精神性の重みというか、格が違うなあ…。2020/07/05
sk
7
死と性に対して偏執的であるが、その異様さの背後には厳然とした秩序があるように感じられる。粕谷には粕谷の必然的な文法があり、それが不可避的に死と性を要請したのだ、そのような厳しさを感じる。2017/02/05
misui
6
基本的には生を暗黒のフィルターに通すことで幻想を立ち上げるところで一貫しているが、もはや虚の幻想そのものが膨れ上がって裏側から我々の世界を襲っている感がある。地と図の関係のような世界の二重身は詩人をはるかに越えた邪悪な謎を提示しているようだ。「それらは、おそらく、私だけの鏡だけに映った狂った事実である。だが、他人には、全てが、邪悪な偽りだったとしても、私は、私を生きなければならない。私は、私を、生きなければならないのだ。」(「破局について」)2015/02/03
gu
5
粕谷栄市の詩を読んでいると死者の笑いという言葉を連想する。繰り返されるイメージは孤独で卑小な人間の惨たらしい生涯と虚しい最期であるのだが、その一切が虚妄で、一切が夢であるかのような世界の空気の中に彼らの死後の笑みが漂っているのを感じる。「そうなのだ。優しい人間なら、誰もが、その霊狐となって、ありありと、見ることができる。満開の桜の木のしたに、琵琶を抱いた、幻の百人の盲目の法師たちが、愉しげに、笑って坐っている」2022/03/10
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