内容説明
第1巻「田村隆一詩集」から30余年、160冊の「現代詩文庫」から、次代に残す名詩をえりすぐった全篇解説付アンソロジー。
目次
石原吉郎(位置;葬式列車 ほか)
黒田三郎(死のなかに;賭け ほか)
吉岡実(静物;過去 ほか)
宗左近(骨を焼く;椅子 ほか)
安東次男(女たちへの讃歌;樹木開花 ほか)
石垣りん(シジミ;表札 ほか)
鮎川信夫(死んだ男;アメリカ ほか)
那珂太郎(繭;「毛」のモチイフによる或る展覧会のためのエスキス ほか)
清岡卓行(石膏;子守唄のための太鼓 ほか)
北村太郎(センチメンタル・ジャーニー;朝の鏡 ほか)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
13
石原吉郎から谷川俊太郎まで、戦後詩の前半を彩る詩人たちの作品を、文句なしに代表作から集め一望したアンソロジー。終戦の影が色濃く、初期の戦後詩人にとって、その詩は死者との鎮魂であり連帯であり、逆に言えば、一人生き残らされた世界の孤児として戦うことの証明であった。世界の孤児として、詩という領土を打ち立てる試みは、戦争の記憶が薄れた時代にも変わらず、むしろそれを背景に、孤高というトーンがさらに強まっていく。都市や革命に題材をとろうが、古代の原風景に還ろうが、その基調において共通点が多い2014/05/31
愁
4
戦後詩アンソロジー。さすがにこの時代になると各詩人の個性や技量もしっかりしていて安心して読んでいられる。ここで知り、興味を持った詩人もいる。が、個人的にはこのアンソロジーの時代以前のモダニズム詩人達の未完成ながらパワーやアイデアに満ちた魅力の方が好み。完成度の低さもそれはそれで。2019/01/11
メイロング
4
学校の国語の授業では、詩を咀嚼できない。小説なら作者のカラーでまとめることが出来ても、詩はそれが無理っぽい。この本の解説で「戦後詩展望」と銘打って、そのカラー分けを試してくれているのだけど、部外者にはその年表、その地図的な詩人たちの配置を理解するのが難しい。詩の世界に全身ツッ込まないと無理なのか。だからといって、国語を教える側としたら、詩の持つ言葉のパワーを無視することは、あまりに惜しいのだろうね。2010/12/13