内容説明
偉大なる哲学者ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツが庭園という制度に重大な動機を与えていたとは、周知のことではなかった。ライプニッツが“自然と人工”をめぐる観念を抽出したのは、ハノーファの有名なヘレンハウゼン・バロック庭園における庭園形成からだという。本書は、18世紀風景式庭園の席捲をもっと“造園革命”とする文化史の常識を転倒させようという。風景式庭園のなだらかにカーブする遊歩道に認められてきた自由の思想は、バロック庭園の輻輳した幾何学にこそある、幾何学こそが本来の庭園革命なのだと。
目次
1 ヘレンハウゼン大庭園(主役たち:ゾフィー、ライプニッツ、ゾフィー・シャルロッテ;ヘレンハウゼン大庭園の史的階梯;ウード・フォン・アルフェンスレーベンと研究の開始;バロック庭園と風景式庭園の狭間にいるライプニッツ)
2 ヘレンハウゼンにおけるライプニッツの活躍(実用、対話、省察;運河計画(1695‐1696)
大噴水の象徴学と造営(1701‐1720))
3 ライプニッツのヘレンハウゼン・フィロゾフィー(識別不能原理;ヴェルサイユと内在的な無限性;逸脱術(Die Kunst der Abweichung)
モナドロジーの図化)
4 バロック庭園の現代性(風景式庭園の抱えた数々のパラドックス;多孔性バロック庭園;幾何学の自然らしさ;ルクレーティウスの雲)
著者等紹介
ブレーデカンプ,ホルスト[ブレーデカンプ,ホルスト] [Bredekamp,Horst]
1947年生まれ。1993年以後フンボルト大学芸術史教授、2003年以降ベルリン科学院永年フェロウ。その他プリンストン大学、ゲッティ・センター、ブダペスト・コレギウムのフェロウを歴任。偶像破壊運動の研究を皮切りに、ボマルツォ怪物庭園、ボッティチェッリ、カルチョ、コレクションなどルネサンス研究とともに、ガリレイ・ホッブス・ライプニッツという思想家を巡って近代西欧思想史の読み替えに図像解読という独特の手法を用いて、高い評価を得ている
原研二[ハラケンジ]
1978年東京大学人文科学科大学院独文学博士課程中退。名古屋大学教養部ドイツ語講師。1981年ウィーン大学人文学部演劇学科留学(1983・9帰国)。1986年東京都立大学人文学部独文学研究室助教授。1996年東京都立大学人文学部独文学研究室教授。2007年大妻女子大学比較文化学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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毒モナカジャンボ