出版社内容情報
多田将[タダショウ]
著・文・その他
内容説明
もっとも小さな物質「素粒子」―そのなかでも、もっとも捕えにくいのがニュートリノだ。地球上の人間は皆、1秒間に600兆個のニュートリノを浴びているが、ほとんどが幽霊のように通り抜けてしまうため、その実感はまったくない。この謎に満ちたニュートリノの正体にいま、人類が築き上げた科学と日本の圧倒的なテクノロジーが融合した「すごい実験」が迫りつつある。未来の物理学を書き換える熱い知の現場から、その面白さをわかりやすく解説。
目次
第1章 ニュートリノとは何か(壮大なニュートリノ実験;自然界の構造 ほか)
第2章 反物質(反粒子;反粒子の性質 ほか)
第3章 ニュートリノの検出(ニュートリノの反応と検出;同世代でのやりとり ほか)
第4章 ニュートリノ振動(中間子;π中間子 ほか)
第5章 究極の謎への挑戦(物質の起源;寿命の違い ほか)
著者等紹介
多田将[タダショウ]
1970年大阪府生まれ。京都大学理学研究科博士課程修了。京都大学化学研究所非常勤講師を経て、現在、高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所、准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
48
2021年、締めの1冊。ニュートリノ。比較的近くに、カミオカンデがあるので、身近に感じる。とはいえ、実際、ほとんど何も知らないので、読んでみた。やはり、内容は難しいが、多田先生の文章は平易で読みやすい。こんなううに、文章が書けるといいよなあ~と感心しきり。物理学の特性として、理論は必ず、裏付けがされて初めて認められるという厳しさが凄い。2021/12/31
ま
33
実験と理論。見えないものを見て、それを説明できちゃう人間の力ってすごいや。牡丹餅を食う努力見習いたい。多田先生面白いです。2023/02/23
樋口佳之
10
3つの波はうねりを作る。へー。3世代があればCP対称性が崩れる。うー。/猫波あたりまではうんうんと読めましたが、そこからはまだまだついていけない感じでした。/数式への強烈な拒絶反応は置いておくとして、単独で時間と共に、別の素粒子へと変化していく現象、つまり原因が他になく自発的に起こる現象っていうのが全く常識外であることが難しいのかなあ。通常の因果律が成り立たない事、そしてその説明が数式での証明と実験結果であることで狐につままれる感が残るんです。うー。2016/11/29
あーてぃる
7
講演会の書き起こしで語り口は軽妙。猫(オイ)、分子、原子、電子、陽子、中性子、荷電粒子、クオーク、レプトン、ニュートリノ。対消滅、対生成。J-PARC、KEK、SLAC、BELLE、そしてスーパーカミオカンデ。ちょっとこの分野に興味がある人ならどこかで聞いたことがあって、でも曖昧だったかもしれないすべての単語が整然と収まるべきところに収まる感覚は小気味よい。200ページ足らずの薄い本。これ一冊読めば素粒子物理学の基本中の基本を知ることができる?答えはДаだw。Да здравствует наука!2018/09/11
saorino
6
ニュートリノとは何かを、やさしく紐解いてくれる一冊。物理学を勉強してない私でも理解できた。あらゆる物理現象や実験を猫にまつわるたとえ話で解説してくれる。天才的に解説がうまい方だが、多分すごい変わった人だと思う。笑2019/10/20