出版社内容情報
イ・ヒヨン[イヒヨン]
著・文・その他
小山内園子[オサナイソノコ]
翻訳
内容説明
子どもを欲しがらない人はますます増えていた。出産を奨励するために政府がさまざまな支援策を打ち出したが無駄だった。時間が経つにつれ状況はややこしくなった。政府は結局、新たな道へ踏み出した。「これからは国が責任を持って子どもを育てます」。チャンビ青少年文学賞受賞作。
著者等紹介
イヒヨン[イヒヨン]
李喜榮。短編小説「人が暮らしています」で2013年に第1回キム・スンオク文学賞新人賞大賞を受賞してデビュー。2018年『ペイント』で第12回チャンビ青少年文学賞を受賞。30万部を越える大ベストセラーとなる。さらに同年『きみは誰だ』で第1回ブリットGロマンススリラー公募展大賞も受賞した
小山内園子[オサナイソノコ]
東北大学教育学部卒業。社会福祉士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
87
YA。近未来の韓国、少子化が進み人口絶壁の社会。国家が子供を預かり育児し教育する。NC(ナショナルチルドレン)センターでは13歳から19歳までの間に父母面接を行い親を決めて退所する。個人IDデータからNC出身というラベルを剥がすために、20歳までに親を選ぶ必要がある。17歳のジェヌ301は父母面接(ペアレントインタビュー)通称ペイントに乗り気になれない。NCの子供を引き取ると恩恵や年金が貰えるという下心がみえる親候補を信頼できないと思っていた「親を決める選択権は全面的に僕らにある」▽親子関係を考える。良本2022/07/28
星落秋風五丈原
50
韓国では、この作品をフィクションとばかりは言っていられないからなのか。ドキュメンタリーでは韓国・ソウルの出生率が0.64だと報じられていた。中でも一番出生率の低いのが高級住宅地として知られる江南地区だという。日本と異なり兵役がある韓国では、人口減は切実な問題だ。だからといって儒教精神やら家を守るためやら昔ながらの題目をおしつけられて、キャリアを断たれてしまう現実を、女性達にだけ受け入れろとはいえない。本編のような、大変な時期だけ子供を育ててくれる施設が本当に必要になるかもしれない。2021/12/14
崩紫サロメ
26
少子化が進む近未来。子どもを育てたくない親が放棄した子を国家がNCセンターで育て、NCの子ども達は13歳から19歳の間に面談(ペイント)を進め、「親を選ぶ」。しかしその間にペイントできなかった子はNC出身者、犯罪者予備軍のような烙印の中で生きなければならない。17歳になっても親が見つからないジェヌを主人公として、家族のあり方を問いかける。家族とは愛情だけでつながっているものなのか、血のつながった親子とそうでない親子は何が違うのか?架空の話であるが、現代社会の人間関係についての鋭い問いがある。2022/04/28
さくら咲く
19
韓国のでベストセラー作品。韓国本を初めて手に取ってみた。舞台は近未来の少子化対策のため育児放棄された子供達を国家が18歳まで育てる施設での物語。今でも伸ばしているという売上げは韓国ならではの子育て、お受験など子供に託すべき物が多く締め付けが厳しい表れなのか。日本はどうだろう。 ロボットが生活を支える設定は最近当たり前になっているが無機質な物を感じさせる効果があり、主人公達の人間性を引き立てている様に感じた。2022/02/15
眠り猫@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
17
初めて最後まで読んだ韓国の小説。カズオ・イシグロか約束のネバーランドか、って思いながら読み始めました。いい親とは⁈親子の定義とは⁈ 読んでる間中色々な感情が巡りました。そしてこの小説は韓国で中学の必読書になっていると後書きにありました。日本の中学生が読んだらどんな感想を寄せるのでしょう。私自身も我が子とペイントしたらどこまで行けるのか、まるで自信がありません。スピンオフの『モニター』ももし読める機会があれば読んでみたいです。2022/04/25