出版社内容情報
小林エリコ[コバヤシエリコ]
著・文・その他
内容説明
普通に働いて、普通に生きたかった。その「普通」が、いかに手に入れるのが困難なものかを知った。ブラック企業で働き、心を病んで自殺未遂。失職、精神障害、親との軋轢、貧困、希死念慮。女一人、絶望と希望の記録。
目次
第1章 精神障害、生活保護、自殺未遂
第2章 ケースワーカーとの不和
第3章 「お菓子屋さん」とクリニックのビジネス
第4章 漫画の単行本をつくる仕事
第5章 普通に働き、普通に生きる
第6章 ケースワーカーに談判、そして
第7章 人生にイエスと叫べ!
特別収録 コミック「女編集者残酷物語」
著者等紹介
小林エリコ[コバヤシエリコ]
1977年生まれ。茨城県出身。短大卒業後、エロ漫画雑誌の編集に携わるも自殺を図り退職、のちに精神障害者手帳を取得。精神科に通院を続けながら、NPO法人で事務員として働く。ミニコミ「精神病新聞」を発行するほか、漫画家としても活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆいまある
121
母親と共依存になり、気力を奪われ自殺企図を繰り返し、精神障害者として年金を受給。生活保護受給から就職して保護を脱出するまでの記録。周りに助けられたが故にがんじがらめになって自分を出せずにいたが、自ら判断する力を獲得するまで。母に依存しながら母を恨み、数ある中から自分で選んだクリニックに依存しながら恨み、無理に併せ過ぎてパンクし、保護を受けながらそれを地獄と呼ぶので、極端な受け止め方をするなあと思う。が、生活保護についての情報って余りにも少ないことにハッとした。このクリニック、千葉県のひだクリニックですね…2021/05/09
harass
99
題名が気になり借りる。同人誌を加筆修正したものらしい。うつ病を発症し何度も自殺未遂をしてしまった著者が生活保護から抜け出すまでを語る。読みやすい文章で率直な内容に感心するが、読んでいて何度も、実に真面目で痛々しく感じた。ホンマモンや。ちょっとアンナ・カヴァンを連想。生活保護というものの実態なども知らないことが多かった。なによりも精神の病の怖さ、判断する考える自分自身への疑い・不安というものがよくわかった。2019/10/21
あん
68
図書館本。ブラック企業での激務からうつ病になり、自殺未遂をおこし、生活保護を受けるに至った作者が、自立して普通に生活出来るまで再生していくお話。私の勤める会社も、うつ病、双極性障害、統合失調症などで休職し、休職期間満了で自然退職する人が多い。身近な問題だからこそ一気に読みました。気になったのは、精神科と製薬会社が癒着して、病名をすり替え新薬を試すという記述。追い詰められた社会的弱者を食い物にする行為が許せなかった。そして生活保護を受けることに罪悪感を持たずに済む方法ってないのかな?と考えさせられました。2018/03/27
ででんでん
67
精神科のクリニックのデイケア、生活保護の仕組み…全く未知のことであり、すべてがこの本のとおりだとは思わないが、この方の体験された現実であると思うと厳しいなと思う。再び仕事に就き、生活保護打ち切りになり、自分のクレジットカードを持てたときの作者の嬉しさと解放感には、とても共感できた。そして、病気やいろいろな理由で、そこまで進めないときのために(誰でもそうなる可能性はある)、やはり生活保護は大事な制度だと思った。2018/03/12
こばまり
59
「自分を取り囲む世界で生きていければ問題ない」とする彼女の考え方は、精神障害とは何らかの「生きづらさ」を抱く疾患であるとの定義に当てはまる。つまり周囲がどう感じようが、当人が不自由を感じなければ病気はないとも言える。この境目の曖昧さよ。2019/02/12