感想・レビュー
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空の落下地点。
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新松子、鶏頭、曼殊沙華。端っこに居る者は見てほしくて立派に成長する。それが過剰に見えたからとてご愛敬。道をうっとりと眺める初鴉にも、片隅のマインドを感じる。人間が空を見るように、鴉も道を見ているかもしれない。水を凹ます落椿、思ったより衝突の強めな秋蝉から生きたい生きたいふざけるなという鈍器のような怒りを感じる。熊手の艶めかしさ。サックスに映る、植田に映る、など反射を描写したものも多い。窓越しに盗み見る他者の頬の遠さなど、同じ〈映る〉でも存在の確認から距離の認識まで多様。一つ言えることは、映ることは淋しい。2024/06/23