内容説明
「おまえはばかなやつだ」「先生のおかげです」。青年医師の心の成長物語。不朽の医療時代小説が蘇る!
著者等紹介
山本周五郎[ヤマモトシュウゴロウ]
1903・6・22‐1967・2・17。本名:清水三十六(しみずさとむ)。山梨県生まれ。小学校卒業後、質店の東京木挽町の山本周五郎商店に徒弟として住み込む(筆名はこれに由来する)。雑誌記者などを経て1926年「須磨寺付近」で文壇に登場。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説などを発表。1943年、『日本婦道記』が上半期の直木賞に推されたが受賞を固辞。とくに晩年多くの傑作を発表し、高く評価された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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GO-FEET
5
《この世から背徳や罪悪を無くすることはできないかもしれない。しかし、それらの大部分が貧困と無知からきているとすれば、少なくとも貧困と無知を克服するような努力がはらわれなければならない筈だ。》(224頁)《かれらがお互いに、自分を捨てても助け合おうとする情の篤さは、生活に不自由のない人たちには理解ができないであろう、と同時に、かれらの虚飾や傲慢や、自尊心や憎悪などの、素朴なほどむきだしなあらわしかたも、理解することはできないに相違ない。》(272-273頁)久方ぶりの山本周五郎、相変わらず読み応えあり! 2024/03/08
Hiroki
3
朝霞図書館 世の悪や歪をきれいさっぱり掃除しきるなどというのは出来ない相談で、視点を変えれば塵一つ落ちていない場に人間は住めない。汚れ役の苦さや辛さを負う覚悟を持続できるか否かが人間の価値を決める。といった剛直球一本やりでやれた時代・・・文体も構成もまるで古典でした。いや、古典だから駄目だなんて言ってません。この剛直球をどう受け止めて、どう投げ返すか?それにしても、昭和ってイイ時代だったんだなぁ、その遺産を食い潰さんうちに次の一手を打ちたいものです。2024/06/06
とむ
1
赤ひげ先生の生きざまかっこよかったです(^_^)2025/06/16
chmclgrdn
0
アンソロから。 遊学帰りで御目見医になる予定だった青年医師保本登は、小石川療養所の医員として働くこととなる。遊学中の婚約者の裏切りや本来と異なる進路、待遇や環境に不満を抱きモチベーションをもてずにいたが、赤ひげこと所長の新出去定医師とともに様々な患者に出会ううち、療養所やそこで働くことの意義を見つけていく。 「貧困と無知さえなんとかできれば」「この世界に悪人という者はいない」といった去定の祈りのような言葉に、ヒューマニズムを強く感じた。 何度か実写化されているようでそれも気になる。2025/02/01