内容説明
敗戦直後、ソ連占領下における赤軍兵士によるレイプと中絶・性病の蔓延。社会主義学校への転換と社会主義的人格を目指す教育。「快楽」としての性や同性愛の位置づけとAIDS問題。DDR(東ドイツ)における性をめぐる状況の変化と性教育の歩みを、中心的な教科である「生物」教科書と教授プランの分析を通して描き出す。SED(ドイツ社会主義統一党)支配の下、限界はありながらも、セクシュアリティと性教育の局面において社会主義的民主主義を求める闘い“進歩的な性教育、ホモセクシュアル運動など”が、SEDの独裁体制を平和裏に打倒する上で果たした役割を評価する著者の東ドイツという国家像に迫る試み。
目次
第1部 ソ連占領期から59年までの生物教授プランの変遷と性教育(1946年ソ連占領地区教授プランと1947年教授プラン;1950年代前半における生物教授プランの変化;1955・56年生物教授プラン案とそれをめぐる論争;1959年教授プラン基本構想案をめぐる論争と1959年教授プラン)
第2部 1960年代における性教育の発展と生物教授プラン(60年代における性教育の発展とその特徴;1968年生物教授プランと教科書)
第3部 1980年代におけるセクシュアリティをめぐる状況と生物教授プラン(セクシュアリティと性教育をめぐる80年代の状況;80年代半ばにおける生物教授プランをめぐる議論;1989年生物教授プランと教科書の特徴と問題点)
著者等紹介
池谷壽夫[イケヤヒサオ]
名古屋大学大学院文学研究科単位取得退学。高知大学、日本福祉大学をへて、現在了徳寺大学教養部教授。社会福祉学博士。哲学・教育哲学の視点から、ジェンダー・セクシュアリティと教育の問題、男子問題を中心に研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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