内容説明
生地のドイツにも、『資本論』が書かれたイギリスにも行った!日本にいては分からないことが見えた!
目次
第1部 ドイツ編 歴史のなかでマルクスを読むこと
第2部 グリム編 ドイツ三月革命とフランクフルト憲法
第3部 イギリス編 『資本論』誕生の地で資本主義を語る
著者等紹介
内田樹[ウチダタツル]
東京大学文学部卒、東京都立大学大学院博士課程中退。現在、神戸女学院大学名誉教授。専門はフランス現代思想、映画論、武道論
石川康宏[イシカワヤスヒロ]
京都大学大学院経済学研究科後期博士課程単位取得退学。現在、神戸女学院大学教授。専門は経済学、経済理論
池田香代子[イケダカヨコ]
東京都立大学人文学部卒業。ドイツ文学者・翻訳家・口承文芸研究者、エッセイスト、平和運動家。グリム童話の翻訳がライフワーク(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いろは
24
実に読みやすかった。『若者よ、マルクスを読もう』シリーズの2巻までは読了し、今回はこの作品を手に取った。我が家だけでなく、社会の大半の人には共産党アレルギーというのがあって、しかし、何故共産党がタブーなのかというところが、やっぱりこの作品を読んでも分からないと思った。斬新だったのが、内田樹の日本がアメリカの属国というところで、これは私の中にはない考え方だった。それにしても、資本主義と社会というのは、切っても切り離せないと思った。この作品を読んで、マルクスとエンゲルスの資本論を読もうとは、残念だが思わない。2018/10/11
さえきかずひこ
11
若マルシリーズのおまけ本。内田さんが、ロンドンでむかしの紡績機を見て、その人間的で凶悪な佇まいにラッダイト運動への確信をつかむところはなかなか生々しくて良かった。グリム兄弟とマルクスのかかわりなど知らぬことも多く、勉強になったが、軽い気持ちで読める一冊です。2017/06/26
ひかりパパ
6
石川先生と内田先生の対談がなかなか興味深い。欧州では昨今左派の巻き返しが著しいが背景に地下水のように流れているマルクスを含めた様々な潮流がある。日本が世界の中でマルクス研究では先進国であり、マルクス研究に100年の伝統を持っていることは文化遺産的な価値があるという内田先生の発言に納得。日本の社会科学の発展に自由にマルクスを論じられる環境があったことが大きく寄与していると思う。社会科学のみならず文学、哲学、物理学など諸科学に及んでいる。2016/10/22
ひろゆき
3
若者よマルクスを読もうという本の番外編とか。若者ではないので、本編の存在は知らない。マルクスの旧跡を巡る、内田樹など表紙に載る面々の講演、対談付きの旅行記。あまりに真面目な旅行。私なら参加は遠慮する。簡単な伝記的な情報も得られ雑学にはなる。コーディネーターには元全学連委員長の松竹氏も参加していて、党派色濃厚なのだが、ここに内田が参加している驚きと、なんとなくの緊張感。なにこれなんか怖い。2017/07/24
amanon
3
旅行記という体裁をとっているうえ、マルクスプロパーではない人が著者として名を連ねているので、正直あまり期待していなかったのだけれど、予想外に楽しめた。とにかく相手はマルクスという生半可ではない存在を巡る旅。ましてや反知性主義が跋扈する昨今において、マルクスの人生を振り返る旅がどういう意味を持つか?と考えると、どうしたってそれはシビアなものになってくる。実際、この旅の過程で新たな問題点、また内田、石田の両氏に新たな課題が浮かび上がったのは象徴的。とにかく二人には更なるマルクス論議が期待されてならない。2016/12/04