出版社内容情報
ケアという概念の政治理論・法理論上の意義を解きほぐし、ケアという価値があるからこそ存続に値する社会、「ケア基底的社会」を構想する。
●著者紹介
池田弘乃(いけだ ひろの)
東京大学法学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程満期退学。松山福祉専門学校、都留文科大学等の非常勤講師を経て、現在、山形大学人文社会科学部准教授。専攻は法哲学、ジェンダー・セクシュアリティと法。
内容説明
ケアという概念の政治理論・法理論上の意義を解きほぐし、ケアという価値があるからこそ存続に値する社会、「ケア基底的社会」を構想する。
目次
第1部 思想資源としてのフェミニズム(「個人的なことは政治的なこと」―性の公共性について;ハラスメントがセクシュアルであるとはどういうことなのか;人間観の問題とフェミニズム;リベラリズムに呼びかけるフェミニズム)
第2部 ケア基底的社会へ(フェミニズムと法概念論との対話に向けて;フォミニズム法理論とマイナーな声―過少代表という問題;家族の法からホームの権利へ;ケアを「はかる」ということ;ケアへの敬意―倫理から制度へ)
著者等紹介
池田弘乃[イケダヒロノ]
1977年東京都生まれ。東京大学法学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程満期退学。松山福祉専門学校、都留文科大学等の非常勤講師を経て、山形大学人文社会科学部准教授。専攻は法哲学、ジェンダー・セクシュアリティと法(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Bevel
6
著者の主張自体は穏当で、緊張関係を維持しつつ、リベラリズム法学とフェミニズムないしケアのあいだの対話関係を模索するという感じ。いろいろな論点に目を配るという著者のスタイルもあって、法哲学をフェミニズムから見るとこんな感じになるのかという、視点の驚きがある。マッキノンのインパクトの大きさとか。あと、ドゥルーズのマイノリティ論を「個人的なものは政治的なもの」の文脈で引くんだなとか。田中美津の「とり乱し」が法哲学にちょうどよい距離感を与えるんだなとか。2023/01/30
森中信彦
0
フェミニズムとケアの問題を主に哲学的に考察している。「哲学」なので、概念的な記述が多く、もう少し具体例をあげて欲しかった。 しかし、家族について、その機能を考察しながら、社会の基本構造とされていても、「自発的結合」のようにされていることへの疑問とし、「近代家族とは国家行為による創造物である」というように、既成概念を相対化していく論理は鋭い。代議制の男女不平等についても「より少ない感化力しか現在の女性が有していない」というドゥオーキンの判断をあげており、広い視野が覗える。(続く)2023/03/21