内容説明
歴史修正主義が跋扈し、人文学の危機が叫ばれるなか、あえて「世界」とは何かを問う。
目次
第1部 われわれはいかなる「世界」に生きているのか(なぜ、「世界」を問題とするのか―人文学の来し方・行方を考えるために;データ・リヴァイアサンの降臨―存在論的機械学のために;グローバル市民社会―方法としての主体、可能性としての他者;「国民」という主権者の啓蒙の問題―フランス「恐怖政治」の教訓;さらば抑圧―エロースの砂漠、コンテンツなき身体)
第2部 われわれの「世界」はいつ始まっていたのか(前衛失速、電子音、波動化―「今」の音楽の起点を一九七〇年代に探す;「偉大な社会」から破砕の時代へ―一九六〇年代アメリカ史試論;核時代を生きるために―E・P・トムスンと核武装解除;総力戦がイギリス社会に遺したもの―「国民貯蓄運動」の消長と現代の到来)
第3部 歴史認識がなぜ問題になるのか(「ジェノサイド」の想起と忘却をめぐる覚書―コスプレ化と犠牲者性ナショナリズムと知的忘却;戦後日本の中国史研究における「近代」;韓国「歴史戦争」と大韓民国臨時政府;抹消記号を付されたユートピア―イエズス会パラグアイ布教区の廃墟から「啓蒙の未来」へ)
第4部 来るべき人文学のために(モデルネ 新しいものの思考法;生き物としての実験室と有機的な網目―世界を動員するネットワークを異化するために;ボロとクズの人文学―「どん底」の総合的考察)
著者等紹介
山室信一[ヤマムロシンイチ]
1951年生まれ。東京大学法学部卒業。京都大学名誉教授。思想連鎖史
岡田暁生[オカダアケオ]
1960年京都生まれ。大阪大学文学部博士課程修了。京都大学人文科学研究所教授。近代西洋音楽史
小関隆[コセキタカシ]
1960年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。京都大学人文科学研究所教授。イギリス・アイルランド近現代史
藤原辰史[フジハラタツシ]
1976年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程中退。京都大学人文科学研究所准教授。農業史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。