目次
1 高度経済成長から成熟社会へ(高度経済成長期の大学教育―「発展・競争・効率」の重視;「幸福」再考の時代―若者における価値観の変化;少子高齢化と成熟社会―大きな岐路に立つ大学教育)
2 大学教育をとりまく現代的トピックス(大学教育の大改革―「主体的な学び」とICT活用;グローバル化する大学教育―オンライン授業と反転授業;“新しい能力”重視の教育―経済原理に基づく学習到達度調査;ポスト近代型能力―「ハイパー・メリトクラシー」という批判;「評価」の重視―コンピテンシーに対する大きな違和感;行為のなかの振り返り―リフレクションの重要性)
3 成熟社会の大学教育を提案する(「学び」の共同体―オックスフォード大学を参考にして;日本の「学び」―非段階的な学習と非透明な評価;「よいかげんな知」の実態とは―教養教育がめざす方向性;成熟社会の大学教育―「私の学び」を取り戻すために)
著者等紹介
渡部信一[ワタベシンイチ]
1957年仙台市生まれ。東北大学教育学部卒業。東北大学大学院教育学研究科博士課程前期修了。博士(教育学)。東北大学大学院教育学研究科助教授などを経て、東北大学大学院教育情報学研究部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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田中峰和
4
これからの大学教育を考える本。 競争や効率が重視された高度成長期は半世紀も前に過ぎ、二度とは訪れないのに、いまだに成長にこだわる現政権。国立大学の人文社会社系学部廃止騒動はその最たるものだ。本書では、日本舞踊など伝統芸能の伝承過程に継承された非段階性や評価の非透明性に、日本の「学び」を求めながら、新しい大学教育の形を模索する。日本型コンピテンスとも呼べる能力開発が今後の大学教育のヒントになると捉えるのだ。いい加減ではなく「良い加減」あるいはしみ込み型ともいわれる学びを見直す。教え込み型は過去のものらしい。2016/02/12