内容説明
パキスタンとは何か?独立後に定められた「国語」の浸透とイスラーム復興との共振を通し、動態的に考察。
目次
現代パキスタンとイスラーム
第1部 パキスタンの成立(パキスタン研究のための方法論的諸問題;現代南アジアにおける宗教と言語文化;歴史言説にみる「パキスタン」)
第2部 出版とイスラーム復興(南アジアにおける出版文化の史的展開;イスラーム復興とクルアーン解釈書の出版)
第3部 マウドゥーディーの思想と著作(思想家・政治家・著述家としてのマウドゥーディー;マウドゥーディー著『クルアーンの理解』)
著者等紹介
須永恵美子[スナガエミコ]
2006年カラーチー大学文学部ウルドゥー語学科ディプロマ課程修了。2008年東京外国語大学外国語学部卒業。2013年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。博士(地域研究)。現在、日本学術振興会特別研究員(PD)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mittsko
7
13年の博論を14年に刊行したもの。域内大国インドに大きく偏する南アジア地域研究のなかで、パキスタン研究の書はとても貴重。トピックはウルドゥー語とイスラーム復興と思想家マウドゥーディー。いずれも個別で博論に足るテーマだが、本書はまず前二者の不可分なリンクを示す。19世紀半ば以来、ウ語の振興とイスラーム復興は、各種言語メディア(とくに出版産業)を通じて一つに撚りあうことでパキスタンを生み落し、徐々にその内実を満たしていったのだ、と。そして、その歴史過程の焦点のひとつとしてマウドゥーディーがいたのだ、と。2019/02/21