内容説明
愚直にも、内在的にウィトゲンシュタインの倫理を読み解く。語り得ないもの、それは“私”であり、“生”そのものである。
目次
第1章 『論考』の読み方(従来の諸解釈の分類;論理的解釈と倫理的解釈 ほか)
第2章 「像の理論」(素朴な「像の理論」とその問題点;『論考』以前の「像の理論」―「可能性」概念の導入 ほか)
第3章 「倫理的なもの」に向かって(「生の全体としての肯定」という倫理;命題的態度の分析 ほか)
第4章 「はしご」としての『論考』(「像の理論」をどう読むのか;ウィトゲンシュタインの「はしご」 ほか)
著者等紹介
吉田寛[ヨシダヒロシ]
1972年和歌山県に生まれる。2001年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、静岡大学情報学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hitotoseno
5
ウィトゲンシュタインが『論考』を言語論と倫理の二本立てで考えていたのは周知のとおりである。しかし、両者のバランスがあまりに悪いため読者たちはどちらかに偏りながら『論考』を読んできた。たとえば、解説を寄せているラッセルなどは倫理を無視し言語論ありきで読んでいる。一方で、それに対抗して倫理を重視する読者たちは贔屓の引き倒しになるがあまり言語論をおろそかにしてきた。2021/05/31
脳疣沼
2
難解な概念をものすごく分かりやすく説明してくれるし、近年のウィトゲンシュタイン 研究の動向も教えてくれる素晴らしい本。2018/04/26
メルセ・ひすい
1
京大院Dr.論文 『論考』の解釈 ウィトゲンシュタインの意図 ・語り得ないもの、それは「私」であり、「生」そのものである-。ウィトゲンシュタインの意図に忠実に「論考」という作品を読み、このテキストに込められたウィトゲンシュタインの思想を再現する試み。2009/07/03
hal_7
0
言語論と倫理を統一的観点からまとめる『論考』理解としてはかなりしっくりきた。2012/04/29