内容説明
湯治場から観光地へ―鉄道網の発達やメディア・イベント、余暇の「発明」など、近代のツーリズムが拡大するなかで、大きく変わった温泉地。そのすがたを、当時のガイドブック・絵はがき・鳥瞰図などをもとに鮮やかに描き出す。
目次
1 温泉案内書の系譜
2 鉄道旅行普及以前の温泉地
3 温泉旅行の大衆化
4 メディア・イベントと温泉地の動き
5 昭和前期の温泉ブーム
6 戦時下における温泉地の変容
著者等紹介
関戸明子[セキドアキコ]
1962年名古屋市生まれ。1988年奈良女子大学大学院人間文化研究科博士課程中途退学。専攻:歴史地理学、社会地理学。群馬大学教育学部准教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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猫
8
図書館本。明治以降の日本の温泉のあり方の移り変わりをまとめた本。鉄道網が充実して遠出ができるようになると温泉の目的が療養から観光・遊びに変わり、戦時色が強まってくると遊びが自粛されて慰安中心にシフトしていく各温泉地の対応力がすごい。新聞で行われた投票で選ぶ温泉○○選みたいな企画では、金と人脈と地元愛で組織票を集めまくるのを紙面で実況中継というのが普通だったようで、それで選ばれた結果の何が当てになるのかよくわからないけど、時代だなぁ…と。2018/01/28
はしも
1
歓楽地としての温泉地が戦前から作られていたことや、戦争末期になる前まで温泉旅行客数が伸び続けていたことなど、イメージとは異なる事実が多くの資料をもとに描かれていて勉強になった。2019/08/09
★★★★★
0
明治時代から大戦期にかけての、日本人の温泉に対するまなざしの変化を追った本。交通網の発展に伴って、湯治の場から遊楽の場へと変化してゆく様が分析されます。議論は一本調子で退屈だけど、資料が豊富な点は評価できます。戦争が間近に迫ってきたころの、温泉地の巧みな対応が面白かった。2011/07/24
tnk
0
昨今のアイドル商法も顔負けの温泉総選挙が印象深い。地域をあげて票を買い、主催の新聞社は途中経過を連日報道、しかも戦争用語を多用して煽る。地元の湯治場が市場経済に飲み込まれていく。2024/02/27