出版社内容情報
驚愕瞠目の「鴎外」論
『舞姫』が『青年』が『雁』が『山椒大夫』が『澁江抽齋』が脱構築され現前化する。鴎外は、男女の恋愛、夫婦の性愛の関係性を、決して「観念」としては捉えない。恋愛主体となって肉体に対する感応をもって、主体と客体との区別がつかない関係性を構築し、言説化している。本書は、既婚者である筆者(恋愛主体)を含めた市井に生きる夫婦間における性愛行為の「愛のディスクール」を、鴎外の小説群から読み解いてゆくものである。「わたしは、真の独自性の場が、相手にもなければわたしにもなく、二人の関係にこそある」とロラン・バルトは言った。吉本隆明はバタイユ論において「人間の性行為は、醜悪で、卑猥で、隠したくて仕方がないところに付いた器官を使って行われる。それなのに人間は性交で快美の極限を体験する」と言った。バルトから50年、鴎外から100年の時を経て、「愛のディスクール」における「恋愛」の「観念」はいかなるものなのか、を見届けようとする試み。
【目次】
はじめに 『妄想』
第1章エリスと兼吉姉さん
(『舞姫』『うたかたの記』『文づかひ』『そめちがへ』)
第2章志げ夫人(『半日』『仮面』『追灘』『懇親会』『魔睡』『ヰタ・セクスアリス』
『青年』『雁』『鶏』『かのやうに』『吃逆』『藤棚』『鎚一下』)
第3章りよと佐代といち(『興津彌五右衛門の遺書』『阿部一族』『佐橋甚五郎』
『護持院原の敵討』『大塩平八郎』『堺事件』『安井夫人』『栗山大膳』
『山椒太夫』『津下四郎左衛門』『魚玄機』『余興』『ぢいさんばあさん』
『本家分家』『最後の一句』『椙原品』『高瀬舟』『金毘羅』『寒山拾得』)
第4章五百と抽斎とたかと蘭軒と霞亭(『澁江抽斎』『壽阿彌の手紙』『伊澤蘭軒』
『都甲太兵衛』『細木香以』『小嶋寶素』『北條霞亭』)



