出版社内容情報
瀟洒と放蕩の間隙に産み落とされた、ある作家の自省的伝記小説。
本邦初刊行!
ジャン・コクトー、アンドレ・ジッドをはじめ、
数多の著名人と深い関係を持ったサックスだからこそ描き出せる、
20世紀初頭フランスの芸術家たちの生き生きとした姿。
【本書のみどころ】
①実在した芸術家や富裕層の、ありのままの姿を活写。
②作中で言及される人物(約250名)を網羅した「人物帖」。
内容説明
ジャン・コクトーも、アンドレ・ジッドも、ココ・シャネルも、敬愛するから利用した―。パリで青春を謳歌した作家による実名小説ならではの、20世紀の花形たちをこれでもかと散りばめた、豪華絢爛の人物絵巻!瀟洒と放蕩の間隙に産み落とされた作家の自省的私小説、本邦初訳。
著者等紹介
サックス,モーリス[サックス,モーリス] [Sachs,Maurice]
1906‐1945。パリでユダヤ系の宝石商の家系に生れる。少年時代から作家を志し、コクトーやシャネルなど著名人の庇護を受けるまでになるが、その放縦から周囲の期待をくりかえし裏切り、綱渡りのような流浪の生涯を送った。あるときは修道僧、あるときは軍人、そしてあるときはゲシュタポのスパイとなるが、第二次大戦の荒波を切り抜けることはできず、ドイツ軍により銃殺された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かもめ通信
24
気になっていた本を書評サイト本が好き!を通じていただいた。酒に飲まれ愛に溺れ、自意識に苛まれ贅沢に明け暮れると同時に貧困にあえぐ、そんな自堕落な半生を描いた自伝的小説。読書量や知識は半端ではなく、鋭い文藝批評も読み応えがあるが、目を覆いたくなるほど破廉恥で、あり得ないほど自虐的、痛々しいほど寂しげで、どこか艶めかしい。読んでいるとすごく切ない気分にさせられるのに、この語り手を信頼して良いものかどうかとまどうほどにスキャンダラス。とにもかくにもものすごくヤバイ感じの本だった。2020/09/16
AR読書記録
5
訳者解説から開いてしまったので、私がつい“ダメ人間の言い訳文学”と分類したくなってしまうやつ(の出演者超豪華版)や...と警戒して読むことになった。私小説的作品の場合、文学としての評価と、著者への人間的評価を、どうしても切り分けられない読者なのだよな私は。また何をもって他人を“ダメ人間”などと評価できるのか私は、という問題もある。読者を選ぶ作品、もしくは私はこの作品に選ばれなかった人間、という気分。2020/11/07
中海
0
自伝的な本。まあこんなもんですかね。汗水垂らして働くんでなく、そこそこ本人に魅力があり、それを最大限に利用し、周囲に取り入り、なんとなく蜜を吸えてしまう人間の語りである。利用されたい、彼に関わると身が危険である。なぜだかねー、ジェットコースターがあるように、人とは身を危険にさらしたくなる生き物なんですな。信頼をコツコツ、こういう人物には、非常に不快に映ってしまうが、他人であり、まあ嵐が好きでわざわざ外に出てゆく人間も中にはいるんだよなー、というような本ですかね。 2021/03/20